「思い出すのもつらい」1000本廃棄も…熊本名物“からしれんこん”苦境

西日本新聞 熊本版 長田 健吾

滋養強壮「今こそ食べて」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、熊本土産の定番「からしれんこん」が苦境に陥っている。観光客が激減し、創業400年近い老舗でも売り上げは前年同時期に比べ7割減少した。本来は滋養強壮の健康食として珍重されてきた歴史があるだけに、経営者は「コロナ禍の今こそ、からしれんこんを食べてほしい」と願う。

 21日午後、熊本市中央区新町の「森からし蓮根」の店先には、黄色い衣をまとった、おなじみの名物がずらりと並んでいた。一切れかじると、シャキッとしたレンコンの歯触りと甘み、鼻にツーンと抜けるからしの風味が心地よい。

 江戸時代にからしれんこんを考案したとされる森平五郎の子孫が18代にわたって営む専門店。機械は使わず、職人が毎日手作業で伝統の味を守り継いできた。だが、この郷土を代表する逸品もまた、新型コロナの逆風にさらされている。

 「最近の売り上げは散々。同業者もみな同じような状況では」。副社長の森久一郎さん(52)はこう打ち明ける。熊本空港など県内4カ所の店舗は休業。出展予定だった全国の百貨店での九州物産展も相次いで中止となり、販路は狭まっているという。

 催事の自粛が相次いだ3月には、千本近くが売れ残り廃棄せざるを得なかった。森さんは「思い出すのもつらいですよ。職人たちが誇りを持って作ったものを捨ててしまうのは…」と振り返る。

 生まれつき病弱だった熊本藩主が食べ、病弱を克服したという逸話も残るというからしれんこん。森さんは訴える。「県民にとっては『いつでも食べられるもの』かもしれないが、今こそ全国の人にも食べてもらいたい」

(長田健吾)

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