「退学考えている」「バイト収入ゼロ」コロナ禍、大学生の窮状

西日本新聞 社会面

東大生の岩崎さんら、514人調査

 新型コロナウイルスの感染拡大は、全国の大学生も苦しめている。長崎市出身の東京大4年、岩崎詩都香(しずか)さん(21)が代表を務める学生団体が4月にアンケートを行ったところ、6割超の学生がアルバイト収入が「減った」「ゼロになった」と回答。約1割は、退学なども検討している窮状が明らかに。22日、国会内で記者会見した岩崎さんは「国は至急対応してほしい」と声を上げた。

 岩崎さんは6人きょうだいの末っ子。8歳の時に父親が亡くなり、母親がパートを昼夜掛け持ちして大学受験を応援してくれた。2017年に入学・上京し、学費の免除を受けながら、奨学金とアルバイトで生活費を賄っている。

 2年生時、経済条件から大学を諦めた友人と話していて「進学の選択肢の不公平をなくしたい」との思いを強め、学生約20人で「高等教育無償化プロジェクト FREE」を設立。情報発信に取り組んできた。

 活動の一環として、新型コロナウイルスの影響をテーマに行った今回のアンケートには、大学や専門学校120校に通う514人がネット上で回答してくれた。結果を取りまとめ、「このままでは『失われた世代』を生み出し、社会全体の大損失となる」との心配に駆られた。

 7割超の学生が、学費や生活費をアルバイト収入に頼っており、ウイルスによる経済収縮の直撃を受けていた。大半の大学は4月末~5月上旬が前期学費の納入期限だが、約1割は自分や親の収入減を理由に、退学や休学を考えていると答えた。休業要請で休校が続いて実習や研究もストップし、「医療職などの国家試験を受けられるか不安」との声も寄せられた。

 また、約9割は学校で「オンライン授業がある」としたものの、パソコンやネット接続環境がない学生は対応できない。岩崎さんも、大学院入学に向けた貯金を取り崩してパソコンを購入するしかなかった。

 アンケートを基に仲間と議論し、22日に発表した緊急提言は、前期の学費免除▽学生アルバイトの休業補償▽内定取り消し対策-など。今後、政府や与野党に手渡したいという。

 岩崎さんは活動を続ける中で、自身の経済的困窮を相談する相手がおらず、不安を1人で抱え込んでいる学生が多いことも実感してきた。「これまで見過ごされていた学生の苦境が、新型コロナでより深刻さを増している」

 (下村ゆかり)

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