院内感染が深刻な救急病院 福岡・3病院でクラスター

西日本新聞 社会面 斉藤 幸奈

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各地で院内感染が相次いでいる。福岡県では福岡記念病院(福岡市早良区)など3病院でクラスター(感染者集団)が発生し、職員や患者50人以上が感染した。いずれも救急対応を担い、地域医療を最前線で支える病院だ。感染者が感染に気付かず他の疾患で来院したり、診療拒否を恐れて発熱を隠したりする例もあり、マスクや防護服の品薄が続く中での対応には限界もある。

 「感染予防には力を入れていたが、院内感染が起こってしまった。申し訳ない」と話すのは福岡記念病院の上野高史院長。職員17人、患者9人が感染。このうち患者2人が亡くなった。4月3日に最初の感染が確認された20代男性看護師は、3月中旬から熱や風邪の症状があった。上野院長は「無症状の場合もあり、初めにPCR検査で陽性が出た人が発端なのかはっきりは分からない。それが怖さでもある」と強調する。

 9人の感染者が出た福岡徳洲会病院(福岡県春日市)の乘富智明院長も「外来、救急といろいろな場面で感染に気付いていない患者の診療をする可能性がある」。院は感染症指定医療機関だが、感染者は一般病床から出た。

 一分一秒を争う救急医療では、患者を多く受け入れるほど感染のリスクが高まる側面もある。同じくクラスターが起きた新小文字病院(北九州市門司区)で最初に判明した80代男性は、外傷で救急搬送された患者だった。搬送時は平熱で感染を疑う兆候はなかったが、入院後に発熱が続き、PCR検査を実施した。

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 防護服などの品薄が続く中、多くの医療関係者が「うちでも起こるかもしれない」と不安を口にする。福岡県医師会の原祐一常任理事は23日の記者会見で、アクリル板やクリアファイルなどで手作りするフェースシールドを紹介。「厳しい状況の中、工夫した代用品で感染予防に取り組む病院もある」と説明した。

 福岡市のある救急病院では、防護服の代用として雨がっぱを500着購入した。既に品薄になり買えなくなりつつあるという。

 発熱した人は他の患者と動線を分離している。入り口や待合室を完全に分け、車内で待ってもらうことも。コンピューター断層撮影(CT)検査も発熱者専用を設けて行い、使用後は毎回30分かけて消毒や換気を徹底している。

 問診は感染の可能性を見極める上で重要だが、感染者が正直に申告しないケースも出ている。海外渡航歴を隠した例や、発熱の事実を伏せて腹痛で受診することなどが起きているという。こうした受診者は、診察後や入院が決まってから事実を打ち明けるという。

 院長は「うちに来るまでに医療機関に受診を断られ、困り果てて、やむなくうそをついたのだろう」と一定の理解を示しながらも、「適切に対応し、医療現場を守るためにも正直に状況を伝えてほしい」と呼び掛ける。 (斉藤幸奈)

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