水俣病の訪問授業休止 熊本県「新団体への委託困難」

西日本新聞 熊本版 村田 直隆

 胎児性水俣病患者らが熊本県内の小中学校を訪れ、水俣病の教訓を伝える県の委託事業が、本年度は実施されないことが決まった。新設した一般社団法人が事業を引き継ぐ準備をしていたが、県から「活動実績がない」として許可が下りなかったのが理由。患者らは事業以外にも講話活動に取り組んでいるが、子どもたちが水俣病を学ぶ貴重な機会が一部減ることになった。

 県委託の訪問授業は、水俣市の中学生が市外の生徒から差別発言を受けたことを機に、2011年に始まった。同市の小規模多機能事業所「ほっとはうす」を運営する社会福祉法人「さかえの杜」が受託。同法人理事長だった加藤タケ子さん(69)や事業所利用者が毎年、県内22の小中学校で講話してきた。

 しかし、事業所を利用していた胎児性患者の死亡事案をきっかけに18年10月、加藤さんが理事長を辞任。新理事長の運営方針に不満を抱く患者たちと一般社団法人を設立し、講話を継続する計画を立てていた。

 加藤さんは「ほっとはうすの運営側と患者の思いにずれができて、水俣病を伝える活動が納得いく形でできなくなった」と話す。これに対し、さかえの杜の森枝敏郎理事長は「患者と障害者が地域と共生し、差別の緩和を目指すという情報発信の考え方が共有できなかった」としている。

 県水俣病保健課は「訪問授業は胎児性患者の生の声を聞ける貴重な機会」との認識を示す一方で「活動実績がない団体に任せるのは難しい」としている。代替案として、芦北町の県立あしきた青少年の家で年10回程度、中学生に講話する機会を設ける方向で調整。活動状況を見ながら、来年度以降の訪問授業再開も含めて検討するという。 (村田直隆)

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