水俣病啓発にも影 資料館休館、訪問学習も延期

西日本新聞 熊本版 村田 直隆

「教訓生かし拡大防いで」

 新型コロナウイルスの感染拡大が、水俣病の教訓を伝える活動にも影を落としている。熊本県水俣市立水俣病資料館は3月初めから休館が続き、患者らによる語り部講話も休止状態。差別・偏見解消に向けた啓発の機会減少を懸念する声がある一方、被害拡大を防げなかった水俣病の原点に立ち返り、「今こそ感染予防に生かすべきだ」と前向きに受け止める意見もある。

 同資料館では例年3、4月の来館者は比較的少なく、講話のキャンセルは5件。ただ、原因企業チッソの事業子会社JNC新入社員や県の新規採用職員が、見学や講話を聞く研修が取りやめに。上田敬祐館長は「水俣病の基礎知識を学んでもらう貴重な機会だったのだが」と残念がる。

 県内全ての小学5年生が資料館で取り組む訪問学習にも影響。5月から本格化する予定だったが、感染終息のめどが立たず、5、6月分は7月以降に延期された。上田館長は「特に学校単位の訪問は『3密』の回避が難しい。高齢である語り部の安全確保も考えると、いつ講話を再開できるか」と影響拡大を懸念する。

 一般財団法人水俣病センター相思社が運営する同市袋の展示施設「水俣病歴史考証館」は、開館日を平日に限定している。普段は県外の来館者が多いせいか、週に1、2組まで激減。職員による講話やフィールドワークも3月以降、中止・延期が14件あった。

 水俣病資料館語り部の会の緒方正実会長(62)は、メチル水銀の危険性を把握しながら被害防止を怠った水俣病の歴史を踏まえ、「新型コロナ対策には人同士の接触を避けるという意識の共有が必要」と強調。その上で「語り部の講話を収録したビデオを視聴するなど教訓の継承は工夫できる。水俣病の拡大を防げなかった教訓を感染抑止にどうつなげるか、今まさに試されている」と語った。 (村田直隆)

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