長崎クルーズ船、中傷も…「優しさを」横浜クルーズ船乗客の願い

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

船員へ優しさの連鎖を

 横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた福岡市の70代男性が取材に応じ、新型コロナウイルス感染への恐怖の中、友人たちの励ましが力になったと語った。今、気掛かりなのは同じく集団感染が発生し、長崎市に停泊中のクルーズ船「コスタ・アトランチカ」。「外国人乗員は不安だと思う。日本人みんなが思いやりの気持ちを伝えることで、少しでも安心してほしい」と願う。

 男性と妻は東南アジアなどを巡り、2月4日に横浜港で下船予定だった。ところが、乗客に感染者が見つかり、16日間の客室待機を余儀なくされた。

 持病の高血圧の薬が切れ厚生労働省に何度も電話で助けを求めたが、なかなか届かなかった。感染者は増え続け、不安で押しつぶされそうな日々を過ごした。

 「体調はいかがですか」「奥様と励まし合って頑張って」。そんな中、連日、友人たちからメールが届いた。客室のテレビでは全国から寄せられた応援動画を放送。近くを通る船から「頑張って」と拡声器で呼び掛けられたときには目頭が熱くなり、バルコニーから懸命に手を振った。

 外国人乗員は感染リスクにさらされながらも、笑顔で食事を届けてくれた。

 PCR検査で、夫婦は陰性と判明し、同月20日に下船。「地域で肩身の狭い思いをするのでは」と心配したが、14日間の自宅待機中、近所の人たちが「買い物に行くけど必要な物はありますか」と声を掛けてくれ、食事も差し入れてくれた。「多くの人の支えがなければ乗り切れなかった」

 コスタ・アトランチカでは、長崎県が船会社側に要請していた下船自粛が守られず、外国人乗員が長崎市内などに外出。ネット上では「早く出て行って」「外国人よりも日本人の命を優先すべきだ」などと中傷の言葉が飛び交う。

 男性は「感染拡大を防ぎ不安を乗り越えていくには国籍に関係なく助け合うことが大切だ。厳しい状況だからこそ、優しさの連鎖が世界中に広がってほしい」と訴える。 (宮崎拓朗)

長崎県の天気予報

PR

長崎 アクセスランキング

PR

注目のテーマ