鼻の高い低いを昔の人はどこまで気に掛けたのだろう…

 鼻の高い低いを昔の人はどこまで気に掛けたのだろう。江戸期の俳人、与謝蕪村は詠んでいる。「たらちねのつままずありや雛(ひな)の鼻」

▼当時は高くなっておくれのまじないを唱えながら、母親が赤子の鼻をつまむ風習があったそうだ。あらまあ、この雛人形の顔はどうしたことか。きっと母親がつまみ忘れたんだね-。ユーモアに満ちた句である

▼数ミリの寸法差は人間の鼻では愛嬌(あいきょう)の部類。しかし、科学の分野では見過ごせない。最新技術の粋を集めて設計される高速鉄道の車両先端、いわゆるノーズ(鼻)部はまさにそうだ

▼2027年の開業を目指すリニア中央新幹線。試験車の先頭車両が先日、山口県内の工場で公開された。28メートルの車体に対し、ノーズの長さは15メートルで半分以上も占める。既に随分長く感じる新幹線のそれより、まだ長い

▼こんなに伸びたのは空気抵抗の軽減を追究した結果という。スピードアップと同時に、トンネル進行時に出る「ドーン」という爆発音を緩和させる必要がある。今回のノーズは従来より空気抵抗が13%減るそうだ。あまり格好は良くないが機能は抜群である。人間の鼻もかくありたく

▼興ざめは「鼻白む」、小ばかにした態度は「鼻で笑う」で、「鼻にかける」言動は気に障る。顔の中央にある大事な器官なのに、どうもいい意味に結び付かない。よってあのウイルスにも悪口を浴びせたくなる。「この鼻つまみモノ!」

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