広がる在宅勤務 定着に向け課題の解消を

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、在宅勤務やテレワークが急速に広がっている。まだ政府が要請する出勤者の最低7割削減にはほど遠いようだが、注目に値する動きだ。

 在宅勤務はコロナ禍の以前から、多発する災害への対応や多様な働き方を実現する手段として期待されていた。もちろん出勤しないと成り立たない職種も多い。家庭の事情で自宅では仕事をしにくい人もいるだろう。

 それでも、在宅勤務は爆発的感染を防ぐのに有効な手段だ。その環境整備は行政や企業にとって、今後ますます重要になってくるだろう。定着に向けて課題を整理し解消していきたい。

 テレワークはインターネットやデジタル技術を使って職場以外で働くことを指す。

 パーソル総合研究所(東京)によると、7都府県の緊急事態宣言を受けた4月中旬の全国調査で、在宅勤務している正社員は28%に上り、前月の13%から大幅上昇した。福岡県は24%、九州7県では17%と、いずれも前月比で、ほぼ倍増した。危機感の表れである。

 だが経団連の調査では、大手企業で出勤者の7割削減を実現しているのは半数だった。動きをさらに広げる必要がある。

 働く側にとって在宅勤務の最大の利点は通勤時間をゼロにできることだ。総務省調査では、九州7県の通勤・通学時間(往復)はいずれも1時間前後だ。在宅勤務なら、感染防止のために避けるべき「3密」の通勤ラッシュからも解放される。災害時に公共交通機関が運休しても影響を抑えられる。

 仕事と、子育てや介護との両立にも役立つはずだ。働きやすい職場環境は家庭の事情による離職の防止にもつながろう。

 課題もある。総務省調査(2018年)でテレワークを導入した企業は、情報通信業と金融・保険業では約4割あるのに、卸売・小売業や製造業は2割、運輸・郵便業では1割未満だ。導入しない理由で「適した仕事がない」との回答が7割を超えた。業界による濃淡は顕著だ。

 厚生労働省はテレワーク用通信機器の導入などに助成制度を設けた。自宅の機能整備に補助金を出す企業も出てきた。業界や職種の壁をいかに乗り越えてテレワークを拡大していくか。知恵の絞りどころである。

 労務管理面の不安も残る。現行労働法は始業・終業などを正確に管理することが原則だ。それを在宅勤務でいかに実現するのか。テレワークを定着させるのなら法整備も必要だ。

 運動不足につながるなど健康面での課題も表面化している。デジタル技術の進展に合致した働き方の議論を深めたい。

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