避難所のコロナ対策どうしたら? 「3密」回避して衛生品確保

専門家「住民側も備えを」

 大地震や水害時に開設する避難所で新型コロナウイルスへの感染をどう防ぐか、自治体が頭を悩ませている。アルコール消毒液などの十分な確保にめどが立たない上、限りのあるスペースで「3密」を避ける区分けが難しいためだ。災害とコロナ禍の二重ストレスは他人に感染の疑いを向ける疑心暗鬼も生みかねない。専門家は早急な計画策定とともに、住民側にも事前の備えを呼び掛けている。

 今月中旬、大雨のため34世帯80人に避難勧告が出た千葉県鴨川市。市は公民館など3カ所を開放した。入り口にアルコール消毒液やマスクを用意し、保健師が問診で感染の疑いのある人を個室に誘導する段取りも確認した。実際に避難者は来なかったが、担当者は「人の間隔を2メートル以上空けることや換気などに気を付けた」と振り返る。

 4月に入り、国は避難所でのコロナ対策を検討するよう全国の自治体に通知した。まず「通常の災害よりも可能な限り多く開設し、ホテルや旅館の活用も検討すること」を掲げ、避難者の健康確認や個室の確保などを求めている。

 通知を受け、熊本地震で被害の大きかった熊本県益城町では、担当部局が18カ所ある避難所の収容人数を試算した。内部の検討では、1人当たりのスペースを4平方メートル、通路幅を2メートルにする案が出ているものの「感染予防に徹すれば、6400人収容が1500人に減ってしまう」(担当者)。このため民間施設の活用や町外での受け入れ先があるかも模索しているという。

 民間施設の活用がうまく進むかも分からない。福岡県柳川市は2012年の水害を踏まえ、一時避難所として市内のホテルや専門学校と協定を結んでいるが、担当者は「コロナでの風評被害を考えると、協力をお願いしづらいのが本音だ」と明かす。

 さらにどの自治体も難航しているのがアルコール消毒液など衛生用品の確保だ。全国的な品簿の中で避難が長期化すれば、在庫が枯渇することは目に見えている。

   ◇    ◇

 対応に頭を悩ませる自治体に対し、公衆衛生が専門の尾島俊之・浜松医科大教授は「避難所に行くこと自体が感染リスク。可能な範囲で避難者を減らす努力が必要」と助言する。

 具体的には、住民側にも避難先として親戚や知人宅、車中泊を選択肢に入れるよう促す。「日頃からハザードマップで(避難先の知人宅などが)安全な地域かどうかを把握することが大事だ」と呼び掛ける。

 避難所の運営側には、施設内で避難者が一定の距離を保つため「開設時に個々のスペースや通路をテープで分けることが非常に重要」と強調。人が増えても混乱しないよう区割りを見直す柔軟性も求める。

 一方、集団心理に詳しい有馬淑子・京都先端科学大教授は、避難者に不安が広がれば「『○○さんが感染した』とのうわさが広がり、差別の恐れもある」と懸念する。スペースや物資の不足でさらに緊張が高まれば、疑心暗鬼から攻撃的な言動が増えることも考えられるという。

 こうした混乱を防ぐため、有馬教授は「運営側には正確な情報と見通しの逐次報告が求められる」と指摘。人と接触しない情報共有手段として、無料通信アプリLINE(ライン)などの活用も勧める。

 災害はいつ発生するか分からず、ウイルスとの闘いは長期化も予想される。尾島教授は「自治体は、まずは早急に避難計画をまとめるべきだ。その上で感染状況に応じ、その都度精緻な内容に更新していってほしい」と訴える。

(一瀬圭司)

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