中国が香港民主派「包囲網」 活動家15人逮捕、介入へ憲法解釈変更も

 【北京・川原田健雄】新型コロナウイルスの感染対策のため政府に対する抗議活動が停滞する香港で、民主派への圧力が強まっている。香港当局は民主派の重鎮を一斉摘発したのに続き、香港基本法(憲法に相当)の解釈を変更し、中国当局が香港政策へ直接介入できるよう道を開いた。背景には抗議活動の再燃を封じたい中国の意向がにじむ。

 香港では3月末から、感染対策として公共の場で5人以上集まることが禁じられており、市民の抗議活動は停滞を余儀なくされている。そうした中、当局は18日「香港民主の父」と呼ばれる李柱銘氏ら民主活動家15人を違法集会に参加した容疑などで逮捕した。全員が起訴後、保釈されたが、民主派は「危機に乗じた政治的措置だ」と反発する。

 基本法の解釈変更は立法会(議会)の議事停滞が発端。立法会では昨秋以降、国歌法案に反対する民主派の抵抗で内務委員長を選出できない状況が続く。中国政府で香港政策を所管する香港マカオ事務弁公室と出先機関の香港連絡弁公室は、意図的に議事を遅らせたとして民主派議員を名指しで批判。基本法22条は「中央政府に所属する各部門は香港特別行政区が管理する事務に干渉できない」と規定するため、民主派は「基本法違反だ」と反発した。

 これに対し、中国側は今月中旬、中央を代表する両弁公室は単なる「中央政府所属の部門」ではなく、22条の制約を受けないとの見解を示し「重大問題について香港事務への監督権を行使できる」とした。香港政府トップの林鄭月娥行政長官も21日に見解を追認し、中国の介入を正当化した。

抗議活動の再燃警戒

 香港では昨年6月以降、逃亡犯条例改正を巡る抗議活動が続き、同11月の区議会議員選挙では民主派が大勝した。今年6月には100万人デモから1年の節目を迎え、9月には立法会議員選挙が予定される。再び民主派が躍進すれば中国政府には大きな痛手となるため、事前に香港への関与を強める構えだ。

 22日には香港政府の局長(閣僚)13人中5人を入れ替える人事を発表した。基本法の解釈変更で不手際のあった幹部を交代させる一方、中国の評価が高い人物を起用。民主派抑圧が一層強まるとの指摘もある。

 国家分裂につながる行為を禁じる「国家安全条例」の制定を探る動きもある。3月には親中派議員らが主導し、香港各地やインターネット上で条例制定を求める署名活動を展開した。香港の民主活動家アンディー・リーさん(29)は「立法会選後、動きが本格化する恐れがある。デモができない今はネットで警戒を呼び掛けたい」と話した。

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