「つるし上げだ」休業に応じぬパチンコ店 経営者の言い分は… (2ページ目)

「店の感染対策に限界」「補償なしには疑問」識者の声

 休業要請に応じないパチンコ店は全国にある。営業自粛を当然とする見方が広がる一方、休業補償がないまま休業を促す手法への疑問や、実名公表による過度なバッシングを懸念する識者もいる。

 NPO法人医療ガバナンス研究所(東京)理事長で感染症に詳しい内科医の上昌広さんは「医学的には、今の時期の営業は勧められない」と話す。新型コロナの特徴は屋内での感染リスクの高さ。さまざまな物を介して感染が広がるため、換気などの防止策を取っても「限界がある」とみる。

 休業要請の対象であるゲームセンターなどの遊興施設で営業継続が問題視されるケースは、今のところ目立っていない。対象業種ではなくても営業を自粛する店舗がある中、営業を続ける一部のパチンコ店や飲食店に対し、批判は強い。

 それでも一部の事業者が営業にこだわる理由は、従業員の生活の保障がある。鹿児島大の渡辺弘准教授(憲法)は「そもそも、休業補償をせずに自粛に頼る政策が間違い」と批判する。

 憲法29条は公共の福祉のために私有財産を用いる条件に「正当な補償」を挙げる。「憲法の理念を踏まえれば、感染症対策であっても生じた損失を補償しなければならないと解釈すべきだ」という。影響が長期化する恐れがある中、補償もなく自粛を求めるのなら「通常よりも丁寧なやりとりが必要。行政は十分に説明し、店側の言い分も聞かなければならない」。

 「政府は補償せずに自粛させるという曖昧なやり方を通すため、世間の同調圧力を利用しているのではないか」とみるのは、日本の「世間」を研究する佐藤直樹・九州工業大名誉教授(刑事法学)。

 佐藤さんによると、日本社会の土台を形づくるのは法律ではなく、伝統的な人間関係を基軸とした世間。休業が法的な義務ではないのに強い批判が集まるのは、不平等を嫌う世間の強い同調圧力が原因という。「実名公表はさらなる憎しみを生み、国民の分断を促しかねない」と危ぶむ。 (中原興平、久知邦)

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