「休めない人たち」感染防ぐには? 医師に聞いた3つのポイント

西日本新聞 社会面 木村 知寛

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、九州全県に休業要請が拡大した。そんな中でも「生活維持に必要」として官公庁やスーパー、公共交通機関で働く人は感染リスクに注意しながら仕事に向き合っている。「エッセンシャル・ワーカー」と呼ばれる人たちはどのように感染を予防すればいいのか。大災害や犯罪の現場で負傷者らを手当てする「病院前救護」を専門とし、感染症対策にも詳しい防衛医科大病院の関根康雅医師に聞いた。 

 関根医師は、福岡県警糸島署で行われている予防策について助言した。マスクや手洗いといった基本を徹底した上で、ポイントは(1)浴びない(2)吸わない(3)汚さない-の3点という。 

 (1)は感染者の飛沫(ひまつ)を浴びないため、対応する窓口をビニール製シートやアクリル製の板で仕切ることが有効だ。注意点は「相手との距離を完全に断ち切るのではなく、ある程度は顔が見えること」。相手も不安を抱える中、相互に信頼感を保つ工夫が重要という。関根医師は「遮蔽(しゃへい)が大きすぎたら疎外感を与えるので、顔を覆う適度な大きさにする」と話す。 

 材料はホームセンターなどで手に入るものを活用する。糸島署も近所のセンターで材料をそろえ、非番の警察官が手作りした。 

 (2)では遮蔽物を越えた飛沫を吸わないため換気や風向きを確認する。「空気中のウイルスの飛沫は風に乗って風下に流れる。風上に比べて風下は安全とは言えない環境」という。接客や警察業務など職種によっては熱のある人にも対応しなければならない。こうした人には風下にいてもらい、風の流れをつくる扇風機や送風機も活用したい。 

 (3)は感染疑いがある人が使う場所と、クリーンな場所を分ける「ゾーニング」だ。検温で熱があれば、健康な人との動線を確実に分け、専用の部屋で対応するなどの手順を決めておく。 

 部屋の利用後は一般的なアルコール消毒や台所用除菌剤で拭き上げれば十分。掃除をする人の感染を防ぐ防護具が必要だが、雨がっぱでも防げる。部屋が用意できない場合は(2)を参考に「風を使った感染防止」をする。 

 関根医師が対策を成功させる上で強調するのは「危機意識の共有と互いを思いやり体調を気遣うこと」だ。「感染防止は災害対応に似て、みんなが同じ方向を向いて取り組むことが大切。誰かに任せるのではなく、一人一人ができることから始めてほしい」と呼び掛ける。

(木村知寛)

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