お客さん4人の日も… 熊本タクシー運転手「コロナ怖いけど働かな」

西日本新聞 熊本版 長田 健吾

 熊本市で運転手の新型コロナウイルス感染が相次いだタクシー業界が、苦境にあえいでいる。会社員や高齢者、夜の街で働く人たち…。不特定の乗客と“密空間”を共有し、感染リスクと隣り合わせ。外出を控える人が増え、売り上げは減る一方だ。「次は自分かも」「働かないと生活できない」。運転手たちはさまざまな思いを抱えながら、ハンドルを握っている。

 「朝6時から働いて、まだお客さんが4人目ですよ」。4月27日午後7時すぎ、熊本市中央区の繁華街を走らせながら、ある男性運転手(66)はため息をついた。3月中旬以降、繁華街を行き交う人は激減。「今じゃ、タクシーの方が人より多いですよ」

 熊本市タクシー協会によると、市内のタクシー会社では、雇用調整のため繁華街での「客待ち」を減らし、夜勤者の早上りを実施している。4月15日以降、同市で運転手3人の感染が相次いで判明した後は、「車両を消毒したのか」「感染者はいないのか」など、実名を公表した会社以外にも、いわれなき非難の声が寄せられているという。

 「私だって怖いですよ」と男性運転手。換気のため、窓を開けた肌寒い車内で、こう言葉をつないだ。「家には妻もいる。たくさんお客さんを乗せないと、生活できなくなるんです」

 毎月40万円前後あった売り上げは、4月は十数万円の見込み。半分近くが給与になるが、税金などを引かれると赤字になるという。

 一方、熊本で50年間近くタクシー運転手をしている別の男性(69)は、別の理由で働き続けている。接客を伴う飲食店など、夜の街で働く女性8人が常連客だ。現在も数人が出勤を続けており、ほぼ毎日男性のタクシーを使うという。

 男性は言う。「その子も感染してるかもしれない。怖いよ。でも、こんな時でも頑張って働く子を放っておける?」 (長田健吾)

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