「平等に」「危険だ」…一部学年の「優先登校」に懸念も

西日本新聞 一面 本田 彩子 四宮 淳平 金沢 皓介

 入学したての小1、卒業を控える小6と中3の登校を優先させる-。休校が長期化する中、文部科学省が1日に示した案は、深刻化する学びの遅れに対応する苦肉の策だ。疲弊する保護者の間には評価する声がある一方、新型コロナウイルス感染拡大への懸念は強く、経験のない試みに教育現場の不安も尽きない。

 今春、福岡市の小学校に入学した女性会社員(40)の双子の娘は、まだ自分の教室に入ったことがない。友達や先生に会うことを毎日、楽しみにしているという。「(学年ごとの)分散登校で、週に何日かだけでも学校に行けたら喜ぶと思う。長い自粛生活で子も親もかなりストレスがたまっている」と話す。

 一方、小4の娘がいる福岡市の自営業の女性(46)は心配だという。「今、再開を考えるのは危険だと思う。勉強が遅れることへの不安もあるが、子どもの命を守ることを一番に考えてほしい」と話した。

 福岡県篠栗町の中学3年男子生徒も「他の学年からすれば、いい気持ちはしないはず」と感じる。「個人的には勉強が遅れてしまう不安はあるが、全学年平等に扱うべきで、安全面からも今の時点で休校は延長すべきだと思います」

 教育現場も戸惑う。福岡市の小学校で6年生を受け持つ50代男性教諭は、学年を特定して分けることに疑問を呈する。「なぜ2学年だけなのか。区別する理由が分からない」

 仮に2学年を登校させ、密閉、密集、密接を避ける「3密」対策で使用する教室を分ける場合、学年によつて机の高さは異なり、そのまま使えないことも。「どの学年も学習は遅れている。学年の半分ずつを登校させるなど、みんなが納得できる工夫が必要では」

 中学3年の学級担任をする福岡県の50代女性教諭は「命より学習が大切なのだろうか」と首をかしげる。分散登校についても、学級を3クラスに分けると授業数は3倍に膨れ、担当教諭が足りない可能性もある。「文科省は具体的にシミュレーションしたのかな」

 訴えるのは、オンライン授業の充実だ。「教員研修や機器の整備に時間と予算を集中させるべきでは」

 学校再開について文科省は「地域の感染状況を踏まえて、段階的に実現可能な学校教育活動を実施することが重要」(萩生田光一文科相)と、判断を地域に委ねる。今回の文科省通知の前に、5月末までの休校延長を決めた大分県日田市などは7日以降、地区や出席番号で登校人数を制限する独自の分散登校に踏み切る方針だ。

 地域事情による判断は、学びの格差を生じさせる恐れもある。 (本田彩子、四宮淳平、金沢皓介)

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