「水俣病は何も終わってない」 公式確認64年、静かに慰霊

西日本新聞 社会面 村田 直隆

 「公害の原点」とされる水俣病は1日、公式確認から64年を迎えた。熊本県水俣市などが毎年開く犠牲者慰霊式は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け延期されたが、一部患者団体による独自の慰霊祭は規模を縮小し、静かに営まれた。参列者は全面解決が遠のく現状を嘆いた。

 同日午後1時半、水俣市では犠牲者追悼のサイレンが響き、市民は職場や自宅などで黙とうをささげた。

 原因企業チッソを相手にした第1次訴訟の元原告らでつくる「水俣病互助会」は、不知火海を望む同市袋の「乙女塚」で慰霊祭を行った。新型コロナ対策として、参列者を患者や遺族ら13人に絞り、時間も短縮した。

 昨年10月に母フジエさんを亡くした胎児性患者の坂本しのぶさん(63)は、参列後に取材に応じた。「去年はお母さんがおったと思うと、とてもさみしい」。救済が進まぬ現状に「私たちが何十年も苦しんできたことを、国や県は考えてほしい。水俣病は何も終わっていない」と訴えた。

 熊本、鹿児島両県の認定患者は4月22日現在で2283人(うち1961人が死亡)、処分待ちの申請者は1507人。2019年度の認定者は1人だった。

 国の認定基準に阻まれた未認定患者が、これまで各地で認定や救済を巡る訴訟を提起。司法が救済の門戸を少しずつ広げ、2度の政治解決で4万人余りが一時金の支給対象となった。

 一方で今年3月、未認定患者8人が国と熊本県、チッソに損害賠償を求めた訴訟の福岡高裁判決では、一審で水俣病と認められた3人を含め原告全員が敗訴した。支援者らは「救済の流れが止まりかねない」と危機感を抱いている。 (村田直隆)

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