コロナ禍回復、どう描く 本選まで半年

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】11月3日の米大統領選まであと半年。再選を目指すトランプ大統領(共和党)にバイデン前副大統領(民主党)が挑む。新型コロナウイルスの感染拡大で甚大な打撃を受けた米国の社会と経済をどう立て直すか、その手腕への評価が勝敗を左右しそうだ。世界最多となった死者はなお増え続け、感染の第2波への恐怖も渦巻く中、再生を託すのはトランプ氏か、バイデン氏か。有権者の胸中は揺れる。

「初動遅れ」に批判

 「中国からの入国禁止措置を素早く打ち出した」。4月中旬以降、各州政府に経済活動の再開を求めて全米で頻発するデモ。参加者の多くを占めるトランプ氏支持者にコロナ禍への対応を尋ねると口をそろえた。「大統領に落ち度はない」

 一方でバイデン氏には手厳しい。対応に追われるトランプ氏に対し、バイデン氏は外出自粛中の自宅地下室の特設スタジオからインターネットなどで対案を発信しているが、トランプ氏は「地下室で寝ぼけている」とやゆする。東部メリーランド州の会社員ドーソンさん(61)は「(民主党は)もっとましな候補はいないのか」とあざ笑った。

 保守層には違う見方もある。同州の警察官ダンさん(37)はコロナ対応の初動が遅れた結果、トランプ氏は「最大の成果だった強い経済を失った。しかも支持者が多い小規模事業者を直撃している」と指摘。感染の再拡大も強く懸念される中、景気が短期間で回復するとは思えず「苦境が投票日まで続けば勝てない」。

 トランプ氏は全米規模の世論調査で45%前後の支持率を維持する一方、2016年の前回大統領選で予想を覆して勝利した東部や中西部などの州でバイデン氏にわずかながらリードを許しており、いら立ちを強めていると報じられる。

 前回に続き激戦が予想される中西部ウィスコンシン州の農家スラッタリーさん(74)は知人には今もトランプ氏支持者が多いという。だが「収入が減れば支持離れが起きる」。貿易摩擦の激化などトランプ氏が悪化させた国際関係を修復するためにも、今回はバイデン氏に期待を寄せる。

「大胆さ」見込めず

 国政に40年以上携わってきたバイデン氏には「守旧派」の印象が強い。当選すれば任期中に80代になる高齢も懸念材料だ。リベラル層や無党派層の間で「必要な政策に大胆に取り組めそうにない」と支持をためらう人は少なくない。

 そんな中、保守層も含め注目するのが副大統領候補選びだ。バイデン氏は女性の起用を明言し、人選次第では自身へ向けられる不信感の払拭(ふっしょく)につながる可能性がある。コロナ禍からの再生をうたい、保守派も閣僚に起用する「1期だけの救国政権」を掲げて支持を呼び掛けるとの観測もある。

 だが大統領候補指名争いで、大改革を求めてサンダース上院議員ら左派を支持した若年層の疑念を晴らすのは容易ではない。

 社会主義的な政策を求めて活動する南部バージニア州の会社員カイザーさん(37)はサンダース氏の支持者。大統領選では「バイデン氏に投票すると思う」と話すものの「バイデン氏を『支持する』とは言わない」。あくまでトランプ氏再選を阻止するための消極的な選択だと強調した。

 カイザーさんと共に活動する会社員ハンターさん(32)はバイデン氏に投票するかどうか明言を避けた。「性的暴行疑惑も浮上し、バイデン氏を支持する理由が今は見いだせない。若い世代を説得して票を得たいなら彼にはすべきことがたくさんある」

 選挙集会の開催も見通せない異例の大統領選。9月に始まるテレビ討論会を含め、バイデン氏がトランプ氏を上回る発信力を示せるか。有権者は注視している。

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