オバマ夫妻人気に依存、もろ刃の剣 バイデン氏

決戦の視座(上)

 「彼女は素晴らしい。(可能なら)すぐに副大統領候補に選ぶ」。民主党の大統領候補指名を確実にしているバイデン前副大統領は4月下旬、そう語った。「彼女」とはオバマ前大統領夫人のミシェル氏だ。

 バイデン氏は黒人の支持が厚い。黒人初の大統領オバマ氏を副大統領として支えたからだ。バイデン氏自身はカリスマ性に欠け、若年層などの支持拡大が課題。オバマ氏に劣らず国民的な人気を誇るミシェル氏とタッグを組めればこれほど力強い援軍はない。

 反発も予想される。前回大統領選で既存政治の打破を訴え勝利したトランプ大統領の支持者や、民主党の候補指名争いでサンダース上院議員ら左派を支持した層から見れば、オバマ-バイデン路線は「現状維持派」と映る。「チェンジ」を掲げたオバマ氏の改革は中途半端に終わったとの批判が米社会には根強い。

 激戦州・中西部ウィスコンシン州で農業を営む50代女性ホルムさんはこれまで共和党の大統領候補に投票してきた。トランプ氏にも、巨大資本が支配的な影響力を持つ農業界をはじめ経済の構造改革を期待した。「でも状況は一向に変わらない」。トランプ氏には人格的にも疑問が膨らむ。

 今回は大改革を訴えたウォーレン上院議員ら民主党の左派候補に注目した。ところが勝ち残ったのはバイデン氏。「既存の支配層の象徴でうんざりする」。投票先は副大統領候補を見て決めるつもりだが、失望は隠せない。

 トランプ氏はそんな国民の思いに乗じるかのように、コロナ対応の初動が遅れたとの批判に「オバマ政権が医療品の備蓄を怠っていた」などと反論。バイデン氏が勝てば時代が逆戻りするとの印象づけに躍起だ。

 オバマ氏はバイデン氏支持を表明したものの、ミシェル氏は政界進出を否定しており、副大統領候補になる可能性は低い。それでもバイデン氏がオバマ夫妻に頼る局面は間違いなく増えるだろう。オバマ氏への過度な依存は、前回トランプ氏を支持した「忘れられた人々」と呼ばれる白人労働者らの反発を強めるもろ刃の剣になりかねない。

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 半年後に迫った米大統領選新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の危機の中、有権者は何を視座に投票するのか。キーワードを紹介する。 (ワシントン田中伸幸)

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