【動画あり】姿消す炭鉱電車、HPで記録残す 「動く状態で保存」模索

 筋金入りの鉄道ファンだ。立川哲也さん(38)は福岡県大牟田市内を並行するJR、西鉄沿線に住んでいた影響で幼い頃から鉄道好き。中学時代には、生徒自身が地域テーマを選んで調査する社会科の授業で、三池炭鉱の炭鉱電車を取り上げた。図書館などで調べるうちに興味がわき、全国の愛好者でつくる「鉄道友の会」の会報にも、中学生の投稿ながら掲載された。

自作の乗用鉄道模型。JR九州のななつ星をイメージしている

 高校時代は鈍行列車に格安で乗れるJRの「青春18きっぷ」を使い、鉄道写真を撮るために日本一周を敢行。航空会社に就職して長崎や福岡など勤務地が替わりながらも、新列車運行や路線の廃線といったニュースを聞けば、カメラ片手に全国を飛び回った。

 「なぜそんなに鉄道が好きか、とよく聞かれるけど、なんと言っていいか…。ただ子どもの頃のわくわく感が今も続いているんですよね」。勤務地だった長崎での結婚の際には、地元の松浦鉄道の車両2両を貸し切って内部を飾り付け、友人たちを招いて「走る披露パーティー」も開いた。

 極め付きは、モーターで動く自作の乗用鉄道模型だ。大牟田市内に構えた一軒家の自宅周囲に約50メートルのミニレールを敷き、家族で楽しんでいる。「子どもたちは最初は喜んでいたけど、成長するにつれ、あまり乗らなくなった」と笑う。

 かつての炭鉱電車を引き継ぐ三井化学大牟田工場の専用鉄道が、5月中に廃線になる。「いつかは運行されなくなると予想していたが、やはり残念です」。動く炭鉱電車を一目見ようと、全国の鉄道ファンが沿線に連日駆け付けている。「地元で見続けてきたファンとして、この人気ぶりは誇らしくもあります」

 愛知県に単身赴任中で、月2回は帰省していたが、新型コロナウイルスの影響で3月末から在宅勤務に。おかげで3密を避ける工夫をしながらも、廃線間際の炭鉱電車をカメラに収める機会は増えた。

 4月下旬には、炭鉱電車の歴史や仕様を解説し、長年にわたって撮影してきた写真や動画を公開するホームページ(HP)を立ち上げた。

 そんな動く炭鉱電車の歴史は、間もなく幕を下ろす。「100年以上も前の電車が動いているからこそ、多くの人を引き付けるし価値がある。動く状態のまま保存する方法はないだろうか」。世代を超えて交流する全国の鉄道ファンの仲間たちと、アイデアを巡らせている。 (吉田賢治)

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