コロナで生活は一変…寝たきり芸人・あそどっぐさんが今思うこと

西日本新聞 社会面 三宅 大介

 今は自宅にこもり、動画投稿サイトユーチューブ」の動画制作をする毎日です。新型コロナウイルスの影響で、生活は一変しました。ステージでの仕事のキャンセルも理由ですが、やはり自分の身だけでなく、毎日24時間態勢で介助をしてもらっているヘルパーさんたちを守るためです。

 障害があり、1人暮らしの私には命綱。どちらかが感染すれば、濃厚接触者も2週間は隔離となり、その時点から介助は受けられなくなります。ヘルパーが介助に行っているほかの家族にも迷惑を掛けてしまう。感染が広がれば、高齢者も含めて、ヘルパー制度を利用している全ての人の生活が崩壊しかねません。とにかく、早い終息を願うばかりです。

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 ニュースに楽しい話題が少ない中、息抜きや笑いが求められているように思います。投稿動画の閲覧者のコメントを読むと、以前より喜んでいる人が増えている。エンターテインメントの重要性を実感します。

 従来、障害者が望んでもなかなか普及しなかったテレワークが急速に拡大していますし、こうした試みが広がれば、障害者がもっと社会参加しやすくなるのでは。障害があり、なおかつ地方在住の芸人には、とてもありがたいことです。

 今の日本では、たとえコロナが終息しても、1人では社会参加できない人たちがいるという現実を、少しでも多くの人に知っていただきたいです。ただそう言うと「やっぱり障害者は不便でかわいそう」とネガティブに捉えられがちなのが、難しいところです。

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 障害があるのは「人」ではなく「社会」だという考え方を、私は高校卒業後に通った自立生活センターで学びました。例えば車いすを使う人は、階段しかなければ2階に上がれません。原因はその人に障害があるからではなく、社会の方がいまだに、誰もが自由に2階に上がることができる環境を実現できていない、という“不備”(障害)があるという考え方です。

 人間は、長距離を歩き続けられないから自転車や自動車が、空を飛べないから飛行機が生まれました。視力が弱い人のために眼鏡ができました。同じ観点で、階段しかないところにエレベーターができれば、社会の障害が一つ、なくなる。そうやって一つ一つ解決していけば、世の中から障害というものはなくなるのかもしれません。眼鏡をかけている人を、誰も障害者とは呼ばないですしね。

 障害が自分の中にあると考えて、自分のことを好きになれない人も少なくない気がします。障害は社会の側にあるという考えがもっと浸透して、胸を張って社会に出て行く障害者や、それに共感してくれる人が増えるよう願っています。誰もが違う個性があるのはマイナスではなく、共存しているからこそとてもユニークで楽しいことでしょう?

 社会がコロナも、そしてバリアー(障壁)も克服し、早くみんなで笑える世界を目指して頑張りましょう。というか、早く終息してくれないと、芸人として商売上がったりなんで、生活費がピンチなんですよ!

 (聞き手・三宅大介)

 ◆あそどっぐ 本名・阿曽太一。1978年生まれ、熊本県合志市在住。難病のため、顔と左手の親指しか動かせないことを逆手に、自虐的なネタを県内外での舞台やインターネットを通じて披露、話題を集めている。

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