「グリーン・ライ-エコの嘘」 「環境に配慮」の実態はどうなのか

西日本新聞 吉田 昭一郎

つなげミニシアターの灯 「仮設の映画館」上映作紹介

 インターネット上で新作映画を有料で鑑賞し、ミニシアター支援に結びつける「仮設の映画館」。その配信作を紹介する連載「つなげミニシアターの灯」は今回、福岡市のユナイテッドピープル配給のドキュメンタリー映画「グリーン・ライ-エコの嘘」(オーストリア、97分)を取り上げる。

インドネシアの森林火災現場へ

 インドネシアで大規模な森林火災が起きて周辺国に煙害をもたらしている、という昨年9月の西日本新聞国際面の記事を思い出した。「開墾のための違法な野焼きも原因とみられ、政府はマレーシアとシンガポール系企業を含む40社以上が運営するアブラヤシ農園を封鎖した。国家警察は、野焼きに関与した疑いで計249人を逮捕した」という。何ごとなのか、首をひねりながら読み終えたのだが、「グリーン・ライ-エコの嘘」を見て、なるほど、そういうことなんだな、とその背景を知った。

 オーストリア人のヴェルナー・ブーテ監督の作品。ブーテ監督は「グリーン・ウオッシング」に詳しいドイツ人ジャーナリスト、カトリン・ハートマンさんの案内で世界各国を旅する。

 グリーン・ウオッシングとは「あたかも環境に配慮しているように見せかけ、ごまかすこと」。グローバル企業の製品には「持続可能な」「環境にやさしい」などのPR文句があふれ、環境配慮を印象付けるが、実態はどうなのか、2人で探ろうというのだ。

 まず向かうのは食品や洗剤、化粧品、バイオ燃料などの製品に幅広く使われるパーム油の原料「アブラヤシ」の産地、インドネシア。パーム油は確かに植物由来で再生可能な原料だが、アブラヤシ栽培のために大がかりな熱帯雨林の伐採や違法な野焼きが問題になっているという。

買い物をするヴェルナー・ブーテ監督(左)に、パーム油使用製品について説明するカトリン・ハートマンさんⓒe&a film

 

 2人は、「パーム油業界はインドネシア経済の繁栄に貢献している」という政府要人の演説を聞く一方で、乱開発に抗議するスマトラ島の活動家に会い、「パーム油生産は(グローバル企業による)新植民地主義」の表れで、森林の乱開発による環境破壊や住民の強制移住、地域コミュニティーの崩壊、低賃金労働を招いている、という訴えを聞く。

 グローバル企業にパーム油を卸す大手生産会社の経営者に「森林火災に関わっているか」と直に当たる。否定されると、活動家の案内で森林の焼け跡を見に出掛ける。聞くと、その会社の子会社の所有地だという。「千ヘクタールの原生林で、すでに600ヘクタールが焼き払われた」と活動家。無残な焼け野原に立つブーテ監督の表情は悲しく沈んでいる。

 問題意識旺盛で鋭い突っ込みを入れるハートマンさんと、時にとぼけて素朴な質問を投げるブーテ監督の掛け合いが、深刻で硬いテーマの映画にユーモアをまぶして、見やすいものにしている。

 2人の旅は、メキシコ湾原油流出事故(2010年)の被害地などにも及び、グローバリズムを批判する言語学者のノーム・チョムスキー氏ら有識者を訪ね、グリーン・ウオッシングに対する処方箋を聞く。

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