地震被害のレストラン再開延期 開業目前でコロナ禍 熊本県南阿蘇村

 4年前の熊本地震でレストランを失った南阿蘇村の増田一正さん(44)、嘉代さん(45)夫妻が念願の店を再建した。だが、新型コロナウイルス禍とも重なり、営業再開のめどが立たない。夫妻は地震後、キッチンカーで看板メニューだったあか牛カレーを販売。仮設住宅で娘3人と暮らしながら資金を工面した。再出発を目前にして、再び試練に立たされている。

 レストラン「マルデン」は、崩落した阿蘇大橋のたもとにあった。2010年に開業し、いち早くあか牛をメニューに取り入れて人気を集めていた。改装したばかりの店は本震で損壊。夫妻は転職も考えたが、再建を諦めきれなかった。

 村内のキャンプ場に週末、キッチンカーで通い、カレーを販売し始めたのは地震翌年の17年夏から。1皿500円で、あか牛のローストビーフを3枚乗せても千円。「あの味だね」と、かつての常連客らに励まされ再建資金を積み立てた。

 新たな店は旧店舗にほど近く、隣では自宅の建築も進む。自慢のカレーに加え、あか牛のステーキやハンバーグを木の香も生かした炭火でも焼き、熱々の鉄鍋で提供する予定だ。

 木造平屋のレストラン前にはウッドデッキが広がり、バーベキューも楽しめる。「阿蘇の自然とレストランが溶け合うような店をイメージした」という。

 当初は、本震から丸4年の4月16日、決意を込めて開業する予定だった。ところが、阿蘇地域でも新型コロナウイルス感染が相次ぎ、開業を延期。再建には自己資金に加えてグループ補助金を活用。融資も受けたが、返済を猶予してもらっている。「阿蘇は今が一番いい季節なんですが」と、一正さんは悔しそうだ。

 一方で、現状を前向きにも捉えている。「どっと繰り出す行楽ばかりでなく、家にいる楽しみもあれば、行った場所で初めて出合える風景や味もある。観光のあり方を考え直す機会にもなっているように思えてね」。観光復興への道筋も考えながら、一家は開業の日に向けて準備に追われている。(佐藤倫之)

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