言葉の相談48年、福岡・行橋市の無料教室終了「役割果たした」一区切り

西日本新聞 北九州版 石黒 雅史

 福岡県行橋市の耳鼻咽喉科木村医院が48年間、毎月1回開いてきた無料相談室「ことばの教室」が3月で終了した。言葉習得の遅れや吃音(きつおん)などに悩む延べ1500組以上の相談に答えた。他の相談・訓練施設が整ってきたため「ボランティアとしての役割は十分に果たした」と区切りを付けた。

 教室は木村謙一院長(61)の父で前院長の良一さん(故人)が1972年に始めた。当時、京築地区には言葉の障害がある人のための施設がなく、「昔は耳鼻科医が治療をしていたので、取り組んでみようと思った」と書き残している。

 「最初は経験が浅いので、うまく指導できなかった」らしいが、北九州市立障害福祉センターに勤めていた言語聴覚士の田中愛啓(あいけい)さん(71)ら専門家が加わり、20畳ほどある公民館の会場(当時)が相談親子やボランティアであふれるほどだったという。

 近年は減ってきたが、最終日の3月24日にも2組が訪れた。80年から毎月発行した「『ことば』の相談室だより」には「(子どもの)表情が明るくなった」など父母らのコメントが載っている。

 北九州市で勤務し、夜にボランティアで通い続けた田中さんは「少しでも協力できたらと思って始めたら、いつの間にか45年以上になった。使命は果たせたのではないか。貴重な体験をさせてもらい、自分の財産にもなった」と話す。

 田中さんは最後の「相談室だより」(第469号)に、言葉の指導について「基本的な考え方」を記した。大切なのは「表面に現れることばの問題にとらわれず、コミュニケーションの楽しさを育てる接し方」。そして「子どもを変えるのでなく、寄り添って、待つ」心構えを父母らに説いている。 (石黒雅史)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ