ひとり親家庭、孤立させない 食料届けてつながり保つ 久留米市

 ひとり親家庭を訪問し、食料を無料提供してきた久留米市の法人「umau.(ウマウ)」。新型コロナウイルス対策のため、現在は指定場所に取りに来てもらう方法に変更したが、事情があって取りに来られない家庭には今も自宅訪問を続ける。メンバーは「不安を抱えるひとり親家庭を孤立させないことが大事。こんな時こそ頼られる“よりどころ”になりたい」と話す。

 4月21日、廃棄や寄付される食べ物が集まるフードバンクくるめ(久留米市)で、ウマウの田村貴美子さん(52)が食料を選んでいた。この日は7家庭に届けるため冷凍唐揚げ、簡易みそ汁、たまねぎなど約20品目を車に積む。市内の団地に着くと、すでに40代の女性が道路脇で待っていた。「今日は何がおすすめ?」「ラーメンのスープの素は絶対おいしい。この前と同じつけ汁もあるけど、どう?」。談笑しながら、持参の袋がいっぱいになるまで食料を詰めた。「これでわが家の食事はしばらく大丈夫です。ありがとう」

 女性は夫と別れ、発達障害の小学生の娘と2人暮らし。女性には複数の持病があり、運転免許は持っていない。体調を崩し今年3月にアルバイトも辞めた。5月に再就職の予定だったがウイルスの影響で見送り、生活保護を受けて暮らす。「自粛の長期化で親子ともストレスがたまっている。食べ物を持ってきてもらうのは、家計が助かるだけでなく、誰かとつながっていると分かってほっとする」

 ウマウは昨夏に発足。会員制交流サイト(SNS)で久留米市を中心に約70の母子家庭、父子家庭とつながり情報交換しながら、月に1度、約20家庭に食料を提供する。発足時は指定場所で渡す方式だったが昨冬、ひとり親の女性が虐待の疑いで学校から通報された。女性は親子げんかだったと話すが、子どもは1週間、児童相談所に引き取られた。メンバーの中村路子さん(38)は「顔を合わせても全く異変に気づかなかった。通報されるほど激しいけんかになる前に、悩みを聞いてあげられたら…」と悔やむ。「ただ食料を渡すだけではだめだ」。その後、自宅訪問を始め関係づくりに力を入れてきた。

 ウイルス対策で渡し方を変えてからも訪問を続けるのは6、7家庭。中村さんによると、ひとり親の中には休業要請などの影響で失業したり、収入が減ったりした人もいる。中村さんは「本当に追い詰められた人は悩みを抱え込み、孤立しやすい。親子の生命を守るためにも、助けてと言える関係を絶やしてはいけない」と力を込めた。 (平峰麻由)

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