「あの子」に最適な学び 四宮淳平

 「あの子」に最適な学びはどう実現できるだろう。新型コロナウイルス対策の一環で、オンライン授業を始めたフリースクールを知り、そんなことを考えた。

 思い出したのは福岡県であった不登校の子どもについて考えるセミナーだ。教員や元校長、不登校の子どもを受け入れるフリースクール経営者ら計6人が意見交換した。

 「具体的カリキュラムは?」との教員の問い掛けに「マンツーマンで授業しながらニーズを考える」「教科書に準拠してやっている子もいる」。フリースクール側のそんな返答に、教育の「質」を不安視する指摘や、不登校の子どもを社会とどう結び付けるのかといった質問が出た。

 「カリキュラムに合わせることが必要なのかピンとこない」とフリースクール側が反応するなど質疑がいまひとつかみ合わないのは、学習の基準に差があるからだろう。

 学校教育はさまざまな法的根拠に基づいている。小学2年の算数では学習指導要領に1桁と1桁の乗法(掛け算)が「確実にできる」などとある。これを基に教科書や年間計画が作られる。

 フリースクールには、こうした法的根拠がない。子どもの学習段階はまちまちであり、その子に合わせた学びが提供されるはずだが、手法は各団体で全く異なっている。

 両者の長所を合わせ、学校の系統だった学びを子どもに合わせる形で提供できないだろうか。

 この課題に、広島県教育委員会は2019年度から挑戦している。背景には教員と子どもの意識差がある。小中学校へのアンケートで、教員の大半は子ども自身が考えるように授業を工夫するが、実際にできていると回答した子どもは6~7割だったそうだ。

 「不登校対策に限らず、全ての子に個別の学びが必要」と担当者。国内外の事例を研究し、学校になじめない小中学生向けに「異才発掘プロジェクト」を実践する。

 昨年は2回、各約20人が参加した。磁器と陶器、ステンレスと銀の食器の違いは、といった課題を図書館や百貨店で調べた。ある中学生は「磁器と陶器のカップで紅茶の味が変わるか」という問いを立てた。甘みや苦みは舌の異なる部分で感じる。カップの形が変われば、紅茶が多く触れる舌の部分が違ってくる。このため味は「カップの形で変わる」との結論を導いた。

 興味から始まる学びである。今は休校中だが、学校再開後の授業の在り方を考えるヒントになるのではないか。

 取材で出会った子どもたちが思い浮かんだ。 (社会部)

関連記事

PR

開催中

2022酒器展

  • 2022年1月12日(水) 〜 2022年1月24日(月)
  • 福岡三越9階岩田屋三越美術画廊

PR