感染不安…でも使命感を胸に 奮闘する「エッセンシャル・ワーカー」

西日本新聞 一面 小林 稔子

 緊急事態宣言が31日まで延長され、多くの店舗が休業を続ける中、公共交通機関の職員やドラッグストアの店員らは、感染リスクと隣り合わせの状況で働き続けている。こうした社会生活維持に欠かせない仕事に就く人たちは「エッセンシャル・ワーカー」と呼ばれるが、現場では客から不満をぶつけられることも。「人々の生活を支え、安心安全を提供する」との使命感を胸に、仕事に当たっている。

 「ここにはどげんして行けばいいですか」。4月下旬、福岡市の市営地下鉄天神駅。高齢女性から声を掛けられた駅係員は、周囲や地図を指しながら道案内した。互いにマスクを着用しており、聞き取りにくそうな女性に顔を近づけ大きな声で会話した。

 市交通局によると、約480人いる駅係員や乗務員たちは同7日の宣言後も、マスクや手袋をして急病人や酔客に対応。時には体を支えたり担架に乗せたりしなければならず、密着は避けられない。

 感染リスクはあるが、同局天神管区駅の藤井昌一駅長(57)は「われわれには困っている人を助ける使命がある」と言い切る。改札の窓口にアクリル板を設置したり、2時間置きに券売機や改札機などを消毒したりと、市民が安心して過ごせるよう細心の注意を払いながら業務を続けている。

   ◇    ◇

 福岡市内のある大型ドラッグストアは2月以降、マスクを求めて列を作る客の対応に追われる毎日だ。10人の店員は自前でマスクを用意。来店客を優先させるため、店に仕入れた分は使えない。

 それでも、買えなかった客から「裏に隠しているんじゃないのか」と心ない言葉を浴びせられたことは一度や二度ではない。

 「今は理解も広がり、だいぶ落ち着いてきました」と副店長(31)。マスクやアルコール消毒液類が不足している状況は続いており、「お客さまの期待に応えられていない心苦しさはある」。個数制限の紙をいくら張り出しても、強引に買っていく客もいる。「みんなが我慢をしながら暮らしている。買い占めは控えてほしい」と訴える。

 米デトロイトで、バス運転手が「車内で口を覆わずにせきをする人がいる」と訴える動画を投稿後、新型コロナウイルス感染で死亡。世界的にエッセンシャル・ワーカーの仕事の重要性と健康を守る必要性が認識されるきっかけとなった。

 九州でも医師や看護師、タクシー運転手らの感染が多数、報告されている。5日に感染が判明した福岡県粕屋郡の女性も郵便局職員だ。

 福岡市の女性保育士(35)は、夫と交代で1歳の長男を世話しながら保育園での勤務を続けている。「休校が長期化し、保護者のストレスもたまっていると思う。園児だけでなく保護者の精神的なケアもしたい」。自身の苦労より、保護者や園児を真っ先に思った。 (小林稔子)

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