緊張…自粛下の営業再開 県外客お断りや検温 感染再拡大を警戒

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく休業要請の一部解除・緩和が始まった7日、九州でも飲食店やパチンコ店で営業再開の動きが相次いだ。ただ終息時期は依然見通せず、店舗側には再開できたことの安堵(あんど)と感染再拡大への不安が入り交じった。

■百貨店、大型商業施設

 長崎県の浜屋百貨店(長崎市)は、約2週間ぶりに全館営業を再開した。4月の売り上げは前年比で半減。担当者は、業績回復を期待しつつ「緊張感は緩められない」。店内では「エレベーターに5人以上で乗らない」など感染予防策を徹底。常連客の女性(78)は「早く街の活気を取り戻してほしい」と期待した。

 同県では、カラオケボックスなど遊興施設の休業要請は今月20日まで延長。同市銅座町でスナックを営む50代女性は「6日がゴールと思って耐えてきたのに…」と肩を落とした。毎月の家賃約15万円が重くのしかかるが、延長に伴う追加の協力金は支給されない。

 「特定警戒都道府県」に含まれ休業要請を解除していない福岡県では、自主休業中の博多大丸(福岡市)が食品売り場に限って約1カ月ぶりに営業を再開。来店客はサーモグラフィーによる検温を受けるため1列で順次入店した。

 大型商業施設では、博多リバレインモール(同市)も約半数のテナントが営業を再開した。「ゆめタウン」は、7~9日に県外客が多い福岡県の博多店、久留米店、行橋店を除く九州内全店で専門店を再開。博多阪急(同市)は13日に食品売り場のみ再開する。

■パチンコ店、映画館

 佐賀県では、64あるパチンコ店の大半が県外在住者の入場制限などを条件に営業を再開。唐津市のキングホール鏡店では台を1台置きに稼働させたほか、駐車場では「県外のお客様のご来店お断りします」と書いたボードを掲げ、県外ナンバーの車は住所を確認して入店させた。

 男性スタッフは「再開できてほっとしたが、お客は普段の半分以下。(入場制限は)理解してもらうしかない」。同市の男性客(43)は「県外客を入れないようしっかりチェックを」と注文した。

 熊本県では映画館や劇場の営業が可能になったが、ほとんどの映画館は休業継続を選んだ。熊本市中央区の老舗映画館「Denkikan」(電気館)の窪寺洋一代表(51)は「再開は緊急事態宣言の解除が目安」と慎重姿勢。天草市の本渡第一映劇は9日に再開するが、柿久和範代表(58)は「自宅での鑑賞に慣れた人が映画館に戻ってくれるか不安」と気をもむ。

 約2カ月ぶりに開館した同県立美術館(熊本市中央区)は全来館者に問診や検温を実施した。夫婦で訪れた宇城市の福田千枝子さん(72)は「連休中は家にこもりきり。ストレス発散できた」と笑顔。宮尾千加子館長は「もろ手を挙げて『皆来て』とは言えない。感染防止へ何ができるか試行錯誤を続ける」と語った。

◆「いつまで続くのか」商店主ら焦り 「特定地域」の福岡

 長引く休業は中小事業者にとって致命的だ。政府は14日をめどに地域によって緊急事態宣言の解除も検討するとしているが、その基準は示されず「出口」は見えない。最初に緊急事態宣言が出て7日で1カ月を迎えた福岡県内では、焦りや戸惑いが広がる。

 「もう、前のようには戻れない」。7日、北九州市小倉北区の繁華街で、居酒屋の開店準備をしていた経営者の男性がこぼした。

 緊急事態宣言が出た後、全ての従業員に退職を求め、今は1人で夕方から3時間に絞った営業を切り盛りする。宣言解除の検討対象に福岡県も含まれる見通しだが、「解除されても、スタッフに今更『戻ってきて』とは言えない。そもそも、営業を続けること自体が難しくなった」。普段とは程遠い人通りをやつれた表情で見つめた。

 弁当などのテークアウトを行う飲食店が目立つ福岡市早良区の西新商店街。商店街連合会の事務局を務め、自身も喫茶店を営む吉武勝美さん(66)は「今日の自粛解除に望みをつないでいた店主も少なくない。この状況はいつまで続くのでしょうか」と肩を落とす。

 連休中、一定数の買い物客はいたが、どの店も本来の稼ぎには到底及ばないという。「年配者の客足は止まり、行政の支援金をいつもらえるのかも分からない。家賃、スタッフへの給料が不安という声ばかり」

 商店街を歩いていた福岡市の男性会社員(41)は「感染の心配を考えると、休業要請が続くのは仕方がない。気分転換にもなるし、テークアウトや宅配は積極的に利用して応援したい」と話していた。 (白波宏野、四宮淳平)

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