「本末転倒」10万円給付ネット申請なのに…役所に行列、手続き6時間も

西日本新聞 社会面 押川 知美 黒田 加那

 新型コロナウイルス対策として政府が国民1人当たり10万円を配る給付金を巡り、大型連休が明けた7日、マイナンバーカードを使ったオンライン申請について問い合わせるため、福岡市の区役所を大勢の市民が訪問。長時間待たされた人からは不満や「密集状態」への不安の声が聞かれた。カードがあるだけでは自宅で申請できないこともあり、オンライン申請を諦める人も出ている。

 この日、東区役所では午前8時45分の開庁時点で約60人が待機。マイナンバーカード交付までの目安は<20人で150分>と掲示があり、カードの暗証番号の再発行に来た30代女性会社員は「こんなに多いとは」とため息をついた。

 「あなたの特命取材班」に情報を寄せた50代の女性会社員は1日に来庁。3時間待って再発行を申請し、受け取りにまた3時間かかった。「『密』を避けるためのはずなのに、これでは本末転倒」と不満を漏らし、「終日応対する職員が気の毒」とも話した。

 福岡市は連休中の4~6日、市内全7区役所を臨時開庁。暗証番号を忘れた人だけで計約3600人が来庁した。市特別定額給付金課によると番号の再設定は区の窓口でしかできず、「個人情報なので電話などでは教えられない」と説明する。

 実は、カードと暗証番号がそろってもオンライン申請にはさらなる壁がある。福岡市の60代男性はスマートフォンで申請しようとしたが、手続きサイト「マイナポータル」のアプリに対応していない機種のため、アクセスできなかった。

 パソコンでの申請にはカード読み取り機が必要。男性は持っておらず、区役所に尋ねると「来庁すれば読み取り機を使える」との回答だった。「感染リスクを負ってまで役所に行きたくない」。男性は諦め、郵送による申請開始を待つことにした。

 サイトを運営する内閣府番号制度担当室によると「ログインできない」「入力方法が分かりにくい」などの問い合わせや苦情が多いという。同室は、今後の対応について「サイトの説明を詳しくするなどの修正をしている」としている。

 カードがない場合はどうか。福岡市によると、新規発行の申請から交付までは通常1カ月ほどだが、市には現在、例年の約3倍の申し込みが来ており、さらに長くかかる見通し。担当者は「郵送を待つ方が確実で早い。急ぎでなければ書類が届くのを待ってほしい」と求めた。 (押川知美、黒田加那)

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