緊急事態延長 納得できる「出口」を示せ

 いつまで我慢すればいいのだろう。長引く外出や休業の自粛要請で、暮らしと経済活動が大幅に制限され、国民の間には疲労や不満も生じているのではないか。生活の破綻におびえる人だっているだろう。

 政府は早急に、目指すべき「出口」を示してほしい。それもなしに国民に対し協力を求めるのは、無策に過ぎよう。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が全都道府県を対象に出している緊急事態宣言が今月末まで延長された。先行して出された福岡県や東京都など7都府県では「自粛」が1カ月を過ぎた。

 安倍晋三首相は宣言解除の前倒しも検討するとし、近くその判断基準を示すという。その際は科学的知見を踏まえた納得できる数値基準も出し、国民の理解を得ることが肝要だ。

 そのためには、感染状況の正確な把握が欠かせないはずだ。ところが、感染の有無を調べるPCR検査の体制は依然、必要十分と言うには程遠い。

 日本の検査実施数が海外と比べ際立って少ないことは3月から指摘されてきた。政府は1日2万件の検査能力確保を目指しているが、実際の検査実績は半数にも届いていない。

 政府の専門家会議は今月4日になって、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大を免れた日本は検査体制の拡充が遅れる結果となり、今回十分に対応できていないことを認めた。地域の保健所に過重な負担がかかっているとも強調した。

 いずれの点も、多くの識者らが指摘してきた課題だ。専門家会議としてはもっと早く、政府に改善を強く求めるべきだったと指摘せざるを得ない。

 コロナ禍への政府対応は当初から「後手」「場当たり」といった批判を受けてきた。緊急事態宣言解除の基準作りも自治体の要請を受けた面がある。PCR検査の体制整備の遅れは「後手」の最たるものだろう。

 政府は当面、PCR検査の機会を増やすことに全力を注ぎながら、医療機関への資材の支援や無症状者・軽症者向けの宿泊施設の確保も進めてほしい。

 幸い日本の現状は欧米のようなオーバーシュート(爆発的患者急増)を免れている。ただそれは、医療従事者や保健所職員らの献身的努力と国民の自粛への協力で辛うじて実現されているのではないか。政府はそこを肝に銘じる必要がある。

 いったん感染拡大が収まったかに見えた北海道で再び感染が広がっている。全国どの地域も予断を許さないだろう。政府は年単位での長期化を視野に、コロナ禍にいかに対処するか戦略を描き、国民に提示すべきだ。

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