中国が海洋進出を活発化 米空母はコロナ感染で活動縮小…隙を突く?

 新型コロナウイルスの感染が米原子力空母の艦内で拡大し、米軍が活動を縮小せざるを得ない隙を突くかのように、一足先に国内感染を封じ込めたとされる中国が、日本周辺の東シナ海や南シナ海における活動を活発化させている。米軍は、空母の代わりに米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)の強襲揚陸艦を警戒任務に当たらせたが、日本の安全保障環境の不安定化を懸念する声も出始めている。

 「コロナウイルス対策をしっかりやっていこうという国際的な思いに沿ったものとは言いがたい。中国には自制を求めたい」。河野太郎防衛相は1日の閣議後の記者会見でこう述べ、最近の中国海軍などの示威的活動に不快感をあらわにした。

 4月11日、中国海軍の空母「遼寧」はミサイル駆逐艦などとともに、沖縄本島と宮古島間の公海を航行して東シナ海から太平洋に抜けた。その後、台湾海峡付近から南シナ海で軍事演習を行った。先立つ4月2日には、中国海警局の船が南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島付近で、ベトナム漁船に体当たりして沈没させる事案も発生。4月18日、中国は西沙諸島と、同じく領有権を巡る争いがある南シナ海の南沙(同スプラトリー)諸島をそれぞれ管轄する新たな行政区を設置すると発表、実効支配の既成事実化を図った。

 特に、中国海軍の空母の行動について海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は、(1)一時的に対応力の落ちている米軍と、領有権を争う国々に対するデモンストレーション(2)空母艦載機の訓練-などの狙いがあると分析。「新型コロナウイルスがあろうとなかろうと、中国は安全保障に関して一切緩めないという強硬姿勢を、明確に示したということだろう」と話した。

 一方の米軍は、空母4隻でウイルス感染が拡大。このうち、東シナ海や南シナ海を含むインド太平洋海域を管轄するのは2隻で、乗員感染者が約千人に上った「セオドア・ルーズベルト」はグアムに停泊したまま任務復帰のめどが立っておらず、横須賀基地(神奈川県)を拠点とする「ロナルド・レーガン」も定期修理中で活動できない状況という。

 米インド太平洋軍は4月21日、佐世保基地の強襲揚陸艦「アメリカ」などを南シナ海に展開したことを公表した。空母の機能を穴埋めし、中国海軍をけん制する意図が込められていたことは明らか。香田氏は今後について、「パワーバランスを保つために、日米の防衛協力体制が盤石であることを、常に中国に見せ続けることが必要だ。米軍に対する日本の支援が増える可能性もある」と指摘する。

(塩入雄一郎)

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