異文化で不安の日々 ビートルズになりたくて(9)

西日本新聞 筑豊版

ザ・フライングエレファンツ安部米央が語る「筑豊のビートルズ」

 米国・ニューヨークには、カーネギー公演をはさみ3週間ほど滞在しました。本番までの約10日間、私たちはニューヨークのビル街の一角にあるスタジオで毎日5~6時間ほど、現地のスタッフや出演者とレッスンを重ねました。

 当たり前ではあるんですが、行き交う人は現地の人で、食べ物も、毎日見る景色も全く違いました。仕事に対する意識も文化的に日本とは異なりました。例えばリハーサルの際、休憩が始まると、スタッフは急によそよそしくなって、ちょっとした相談を持ちかけても応じてくれなくなるんです。ですから、時間外に気になることがあると、メンバー同士で話し合うしかなかったです。全く違う空気感の中で、私たちが普段持っているものを発揮できるのかと思うようになりました。

 不安要素の一つとして、発音がありました。歌い終わると現地のスタッフが私の所へやって来て、「そこは『シ』じゃなくて『シェ』だ」とか繰り返し指導されました。「そんなに違うんかな」と思いましたが、指導通りに直していきました。

 木村への指導は面白かったです。ソロ曲があったんですが、オーケストラが演奏するのでベースが要らなくて。突っ立って歌っていると「ここで手を伸ばして、足はこうよ」と身ぶり手ぶりまで言ってくる人がいました。木村は「すぐできるもんじゃないし、歌に身が入らんな」とタジタジで、私たちは「かわいそうに」と思いながら見守っていました。

 私の話に戻すと、文化も違い、普段指摘されない発音を気にしなければならず、不安は日に日に募りました。そんな時、東京から来た音楽関係者がこう言ってくれました。「いつもやってるエレファンツを出せばそれでいいんだから」。この一言がすごく励みになり、「ああ、そうだよな」と思えて、心配事は一気に吹っ飛びました。

 私たちがレッスンしている間、マネジャーの中野は現地の日系の会社を巡り、公演の宣伝をしてくれていました。驚いたことに約2800席のチケットが完売したんです。

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