不覚にも視界がにじんで先が読めなくなった。5日付の本紙朝刊「テレプラ」…

西日本新聞 オピニオン面

 不覚にも視界がにじんで先が読めなくなった。5日付の本紙朝刊「テレプラ」に載った話。1人暮らしの熊本市の女性(82)は、政府が支給する布マスクが届くのを心待ちにしている

▼買いに行っても品切れ。「年で指が動かない」ので自作も難しい。病院でもらった1枚の使い捨てマスクを洗いながら大事に使っている。顔との間にはガーゼを挟む。けば立ってきたけど、せきエチケットが大切と思って…

安倍晋三首相肝いりの布マスク2枚配布。466億円もかけたのに、「たった2枚」「小さ過ぎる」「布製なら作れる」と評判が悪かった。さらに異物混入で回収騒ぎ。地方ではまだ手元に届かない

▼それでも、おばあちゃんのように待っている人はいる。本当に必要としている人に真っ先に届ける工夫はなかったのか。配布券を送り、欲しい人に役所で手渡す、とか。政治的効果を考えて「全国民に郵送」にこだわったのなら、本末転倒である

▼おばあちゃんの言葉にうるっときたのは、何でも「けば立つまで」使っていた亡き母に重なったからか。そういえば、きょうは母の日。コロナ禍で大型連休の帰省を諦め、母さんに会えなかった人もいよう

▼「おばあちゃんに使ってほしい」と多くの読者から、一人では使い切れないほどのマスクが新聞社に送られてきた。九州人の情の厚さに、また涙腺が。異例ですが、担当者が責任を持ってお届けします。

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