人や組織、モノつなげ価値創出 星合隆成氏

西日本新聞 オピニオン面

◆地域革新とP2P

 少子高齢化、東京への一極集中、新型コロナウイルスの感染拡大などが、地域経済や地域活性化に深刻な影響を及ぼしている。これらの解決に向けた、地域創生の有効手段は、「地域にイノベーションを創発する」ことである。

 イノベーション創発は、「新たな発想で新たな価値観を生み出す」ことを意味し、「技術革新」と「新結合」に大別される。

 技術革新は、技術の進展(革新的な技術)によって新たな価値観を生み出すことである。技術革新の成功事例として、産業革命がある。

 第1次産業革命では、蒸気機関の発明で蒸気機関車などを生み出した。第2次産業革命の電気、第3次産業革命でのコンピューターによる新たな価値観は、世の中に大きな変革を促した。現在、第4次産業革命(インダストリー4・0)においてはAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、P2P(ピア・ツー・ピア)などが主要技術として位置づけられる。

 P2Pはコンピューター同士、ユーザー同士を直接つなげるネットワーク技術である。コンピューターは一般的にサーバー(仲介者)を介してつながるが、仲介者なし(ブローカレス)のP2Pの技術が様々(さまざま)な分野で革新的なサービスを生み出した。インターネット電話のスカイプ、仮想通貨のブロックチェーン、SNS、P2P保険などである。

 一方、新結合は「新たなつながりによって新たな価値観を生み出す」ことを意味する。我々(われわれ)は、この新結合が地域のイノベーション創発に有効と考えている。地域に点在する様々な資源同士の新たなつながりによって、新たな価値観を創出するのである。新結合によって地域にイノベーションを創発することを「地域イノベーション」と呼んでいる。そして、この地域資源を科学的につなげる手法としてP2Pに着目した。

 P2Pの考え方を応用し、コンピューター同士が直接つながるように、人や組織、モノなどが結びつき地域イノベーションを創発する取り組みを「地域コミュニティブランド(SCB)」と定義した。熊本県、熊本市、ソフトバンク、マイナビなどが加盟する一般社団法人「SCBラボ」を中心に、全国50のプロジェクトを推進している。地域発展を目指し、様々な地域活性化の活動に取り組んでゆく。

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星合 隆成(ほしあい・たかしげ)崇城大情報学部教授 工学博士。崇城大IoT・AIセンター長も務める。元NTT研究所主幹研究員・参与。世界初のP2PであるSIONet・ブローカレス理論の提唱者。

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