「東の灘(神戸市)、西の城島(福岡県久留米市)」とも称される…

西日本新聞 社会面 阪口 由美

 「東の灘(神戸市)、西の城島(福岡県久留米市)」とも称される久留米の酒どころを取材して以来、“年間契約”の日本酒を毎年注文している。春はうすにごりの「荒走り」、夏は氷温貯蔵「無ろ過」、秋は「ひやおろし」…。季節の移ろいを教えてくれる。

 酒造りは米作りに左右される。4月に届いた通信文の冒頭は「難しい造りでした」。昨年の天候不順が頭に浮かぶ。「少雨に豪雨、気温・日照が足りなかったり、平年以上の残暑になったり」「ここまでひどい仕打ちは経験がありません」とあった。

 一緒に届いた新酒のラベルの淡い桜模様が、いつになく心にしみた。今年、コロナ禍の仕打ちはいかほどか。飲食店休業で各地の蔵元が販売減にあえぎ、酒米農家への影響も懸念される。でも、そんな嘆きは一言もなかった。「キリッと冷やして巣ごもりのお供に」-。自然と向き合い、苦境も越えてきた蔵人たちの矜持(きょうじ)を思った。 (阪口由美)

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