叔父の名を何度もなでた 特攻兵器「震洋」碑前で慰霊 長崎県川棚町

西日本新聞 長崎・佐世保版 平山 成美

 戦時中に水上特攻艇「震洋」の基地が置かれた長崎県川棚町新谷郷の「特攻殉国の碑」前に10日、戦没者を弔う祭壇が置かれた。今年は新型コロナウイルス感染防止のため毎年恒例の式典は行われなかったが、町民や遺族が訪れ、改めて平和の尊さをかみしめた。

 震洋はベニヤ板製のモーターボートに約250キロの爆薬を積んだ太平洋戦争末期の特攻兵器。出撃や訓練などで亡くなった特攻隊員ら3511人の名が彫られた碑は1967年建立。元隊員でつくる碑の保存会が同年から慰霊祭を始め、現在は地元住民が主催している。

 佐賀県みやき町の山下富美江さん(82)の叔父、後藤針磨さんは元隊員で、出撃地の台湾にたどり着く前に戦死したとされる。夫の光さん(86)と参列した富美江さんは、前回初めて訪れた時には見つけきれなかった叔父の名を今回は見つけ、何度も手でなでた。「あまりにも悔しい思いをしたと思う。地元の方に長い間慰霊していただいていたのを知り、本当にありがたい」と話した。

 新谷郷住民は現在、震洋の実物大復元模型(全長5・4メートル、幅1・8メートル)を展示する建物を作ろうと、クラウドファンディングで資金提供を呼びかけている。模型は2016年に作られたもので町郷土資料館に展示されていたが、現在は町所有の倉庫で保管されており、碑のそばへの移転を目指す。「お参りに来た人が模型を見て、この船で敵に向かっていったことを実感してもらいたい」と新谷郷総代の寺井理治さん(73)。

 資金は500万円を目標に、クラウドファンディング「Makuake」で6月29日まで、一口5千円から募っている。 (平山成美)

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