韓国・文大統領が就任3年「危機を好機に」成果を強調

コロナの陰で難題なお

 【ソウル池田郷】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、就任3年を迎え、大統領府で演説した。新型コロナウイルス対策で「われわれは防疫で世界をリードする国となった」と成果を強調。「残りの任期中に国民とともに国難克服に邁進(まいしん)しながら危機をチャンスに変えることに全力を尽くす」と述べ、国民に団結を呼び掛けた。

 文政権のコロナ対策が評価され、4月の総選挙では与党系が300議席中180議席を得て圧勝。文氏に対する直近の支持率は71%に上り、大統領就任3年時点としては1987年の民主化以降で最高という。

 こうした高い支持率を追い風に、残りの任期2年に臨む文政権。ただ日韓の歴史問題のほか、南北問題絡みでの米国や中国との関係、若者の就職難など、選挙戦ではコロナ禍の陰に隠れがちだった難題も抱えている。政界が次期大統領選の前哨戦に入る今後、文氏が国政課題に注力できる時間は限定的との見方もある。

 歴代大統領の多くは任期終盤に求心力を失うと、世論を意識して対日姿勢を強硬化させた。日韓外交筋は文氏の政権基盤安定が「少なくとも日韓関係のマイナスに作用しない」との見方を示すが、関係改善の糸口が見いだせない状況は変わらない。元徴用工訴訟の被告日本企業の資産が現金化され、対立が決定的になることへの懸念がくすぶる。

 11月の米大統領選を控えて政治的緊張が高まる米中との距離感も難しい。文政権は、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備で悪化した中国との関係の改善に努めてきた。一方で、南北統一への足掛かりとして北朝鮮の非核化を進めるにはトランプ米大統領の協力も不可欠。米国が迫る在韓米軍駐留経費の負担増問題への対応などに神経をすり減らしそうだ。

 内政の最大課題は経済対策だ。文氏就任後、国内総生産(GDP)の成長率は右肩下がりで、今年はコロナの影響で1・2%減の見通し。本年度は雇用創出予算約80兆ウォン(約7兆円)を計上しているが、従来対策は公共部門で高齢者の雇用増にとどまっており、若者や働き盛りの働き口に結び付かない悩みを抱える。

 2022年3月の次期大統領選を前に、日本外交筋は「韓国政界は来年後半から選挙モードだ。文政権がコロナ対策に追われる中で、南北問題の進展など政治的遺産(レガシー)を残すのは容易ではない」と指摘する。

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