幻想的で美しいオーロラも、見慣れた北極圏の先住民は「夜空のいたずら」…

西日本新聞 オピニオン面

 幻想的で美しいオーロラも、見慣れた北極圏の先住民は「夜空のいたずら」程度の感慨しかないという。新田次郎が「アラスカ物語」に記していた。ただ、人々が心底恐れて名付けた光があったそうだ

▼白色に輝く柱状の光が揺れ動く「骸骨の踊り」。空全体が赤色に沸き立って渦を巻きながら流動する「血の海」。ともに極めてまれにしか現れないため、死の予兆だとひどくおびえたという

▼かつては神秘の象徴だったオーロラも、現代では発生メカニズムもほぼ解明された。科学が進めば迷信の居場所はどんどん狭まることになる。謎が解けるたび、ロマンや想像力も消えていく。科学とは時に、無粋なものかもしれない

▼それでも最新の知見でも解けない問題もある。米国防総省は先月末、3種類の「謎の空中現象」の映像を公開した。円盤状の物体が雲の上を高速で飛行する。いわゆる、ひょっとして、まさかあの未確認飛行物体(UFO)か、と話題になっている

▼よくある誤認やトリックと違うのは、海軍撮影という信頼性の高さ。「なんてこった」「回転してるぞ!」との声も収めている。「正体は分からない」とUFOを公式に否定しないのは、マニアでなくとも謎を深める

▼森羅万象を科学で明かされるのも、きっと味気ないもの。謎があってこそ人類も解明への英知を磨くのだろう。もっともあのウイルスは科学の総力で徹底解明を願いたい。

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