防災まちづくり 梅雨への備えも怠れない

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長され、世の関心の多くは感染封じ込めができるかに集まっている。だが今、注意を怠れないことがある。

 九州は平年で5月末から6月初めに梅雨入りする。そして台風シーズンが近づく。風水害への備えに万全を期したい。

 その観点から注目すべき法案が今の国会に提出された。防災・減災型のまちづくりを進める都市再生特別措置法などの改正案だ。

 柱は、土砂崩れや浸水、津波といった災害のリスクが高い区域への新規立地の抑制、区域外への移転や防災指針の策定を促す。区域内での店舗や住宅の建設を原則禁止にするという。

 近年の災害の実態を踏まえれば、遅すぎる法改正とも言えるが、着実に前進させたい。

 そもそも日本で、災害対策が本格化したのは阪神大震災(1995年)を経験した後のことだ。国、自治体、住民は今後の災害にどのように備えていけばよいのか-問題意識と危機感を共有することが求められる。

 警戒すべき風水害に土砂災害がある。その警戒区域の指定対象は全国で実に約67万カ所に上り、このうち九州は約14万カ所に及ぶ。福岡市、北九州市などの都市部も含む。日本の国土がいかに危険と隣り合わせなのかを示す数字だ。

 区域指定は2000年代以降に始まった。区域内には既に住居や施設が多数あり、住宅の建設を促す地区さえ含んでいる。今回の法改正で、ここに歯止めをかけられるはずだ。

 土砂災害のほかにも、一昨年の西日本豪雨では11府県に大雨特別警報が出され、河川氾濫による被害も甚大だった。大事な教訓として生かしたい。

 繰り返される災害を受け新たな調査が実施され、その結果、これまで指摘されていなかった危険箇所も浮上している。

 国土交通省は今年3月、谷や沢を埋め立て造成し、大地震で崩落の恐れもある大規模宅地が全国に約5万1千カ所あると発表した。高度成長期の負の遺産だ。九州7県では福岡約4900カ所、鹿児島約1900カ所が目立った。対策が急がれる。

 災害で住まいを失った人々は過酷な避難生活を強いられる。熊本地震(16年)を思い起こすまでもなく喫緊の課題だ。

 南海トラフ巨大地震対策も沿岸自治体を中心に進む。宮崎県は津波タワーなどの避難場所増設や県民の意識向上で、死者想定が従来の半分以下の最大1万5千人になったと発表した。

 ただ行政頼みでは命を守れない。住民の自主防災計画づくりが有効であることは各地で証明されている。肝に銘じたい。

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