鳴り止まない大声援 ビートルズになりたくて(11)

ザ・フライングエレファンツ安部米央が語る「筑豊のビートルズ」

 2曲目は木村のソロだったので、舞台袖から見守りました。木村も私と同様、喉がカラカラで、目が引きつっていました。指導されていた身ぶり手ぶりは、おかしくない程度にやっていましたけどね。

 3曲目でやっと4人がそろいました。定位置についたとき「ああ、仲間が来た」と少しほっとしました。しかし、私も含めて全員が音楽に集中できない状態。私がギターチェンジの際、プラグをうまくつなげず音が出なかったと思えば、次の曲では木村がアンプのスイッチを入れ忘れて。普通はあり得ない簡単なミスです。1部は緊張していて、あまり記憶がありません。

 2部からは、一度ステージに上がり会場の空気感をつかめたこともあり、いつもの自分たちを取り戻しました。「これから本領発揮だ」と力いっぱい演奏しました。

 途中でラッセルさんに自身の代表曲「ア・ソング・フォー・ユー」を披露してもらい、後半に入ると会場は熱気に包まれ客席全員が立ち上がりました。まるで、世界のスターになったような気分です。「イエスタデイ」の途中には、木村が感極まっているのが分かりました。そして、エレファンツのオリジナル2曲を含む18曲を歌い終えると、観客からアンコールを求める声と大喝采が送られました。

 声援に応え、私たちは再び登壇。出演者全員で「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」を歌いました。舞台から降りられないほど鳴りやまない声援を受け、大勢の人が関わってくれたこの公演を無事にやり遂げた安堵(あんど)感で、みんな朗らかな顔をしていました。

 終演後、控室でスタッフや関係者が抱き合いながら「良かったね」と言ってくれました。そのまま、打ち上げパーティーに参加。すべて予定を終え、コンドミニアムに帰った後「成功したんだなあ」とひしひしと感じました。

 翌日、ニューヨーク・タイムズなど現地の新聞には「ビートルズに似ている」など称賛の言葉が並びました。私は、世界を舞台に成功できた、これからのエレファンツへの期待、そして、その期待に応えられるのかという一抹の不安を覚えていました。

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