コロナ家賃支援 困窮者へ最速、最大限に

西日本新聞 オピニオン面

 コロナ禍で収入が激減し、悲鳴を上げている中小企業や個人事業主に、一刻も早く救いの手を差し伸べてほしい。与野党の議論を踏まえつつ、政府はスピード最優先で最大限の支援を実現すべきだ。

 自民、公明両党は、新型コロナウイルス対策として飲食店など中小テナントの家賃支援策をまとめ、安倍晋三首相に提言した。立憲民主党など野党も既に先月末、家賃負担を軽減する法案を国会へ共同提出している。与野党案が出そろった格好だ。

 政府の緊急事態宣言に基づく都道府県知事の休業要請に応じている店舗などは、収入はなくとも自社物件でなければ家賃の負担からは逃れられない。

 東京商工リサーチが4月に実施した調査によると、売上高に占める家賃の割合が2割以上と回答した中小企業は25%に及んだ。規模の小さい個人経営の店舗ほど家賃負担が重みを増すことは想像に難くない。

 与党案は、家賃の3分の2を国が助成する。月額上限は中小事業者が50万円、個人事業主は25万円だ。政府系金融機関などの無利子・無担保融資で中小テナントの家賃負担を下支えする一方、国からの「特別家賃支援給付金」を新設し、実際に負担した家賃を助成する。

 対象は単月の収入が前年同月比で半減した事業者だが、与党は3カ月で30%の減収など基準を広げることも検討するよう政府に求めている。6月から半年分の給付を目指す。

 このほか、自治体が独自に実施する家賃対策にも、国が財政支援する案が盛り込まれた。与党は具体的な制度設計は政府に委ねている。

 一方の野党案は政府系金融機関がテナントに代わって家賃を家主に支払う。テナントの返済を1年程度猶予し、返済できない場合は国が立て替えるほか、家賃を減額した家主に財政支援する制度も組み合わせた。対象は収入が20%以上減少した中小企業や個人事業主で、新規事業者も含めている。

 それぞれ一長一短あるが、目的は同じだ。首相はきのう、衆参両院で開かれた予算委員会で家賃支援策について「国民の切実な声に応え、事業の継続を全力で支援していく」と述べた。

 可能な限り対象を幅広く設定し、十分な支援が早急に行き渡る制度にすべきである。申請手続きも簡略化してほしい。

 急を要するのは家賃の支援だけにとどまらない。コロナ禍はアルバイト先を失った学生や留学生、一人親の家庭など、社会的にも経済的にも弱い立場の人々にしわ寄せが及ぶ。困窮者全体に対する細かな支援の拡充に政府と国会は取り組むべきだ。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ