「お手上げ状態」タイやウニの価格低迷 “でたらめな値段”嘆き

 新型コロナウイルスの影響で佐賀県内の農漁業が打撃を受けている。外出自粛などで需要と供給のバランスが崩れ、高級魚などの価格が低迷。県が民間事業者に対する休業要請を一部解除したことで飲食店は通常営業に戻りつつあるが、需要回復の見通しは立たず、苦境に立たされている生産者からは影響の長期化を懸念する声が上がる。

 「市場に出しても、通常の3分の1から5分の1の値しかつかん。お手上げ状態」。

 タイ漁をしている唐津市の吉田善秀さん(58)はため息をつく。毎年、福岡市内の市場にも出しているが、値崩れしている現状を踏まえ、今年は唐津以外に出していない。運送費を考えると利益がないからだ。

 タイ漁は今が稼ぎ時という。だが「せっかく捕ってもでたらめな値段になる。こんな状況では楽しみもない」と声を落とした。

 ハマチやシマアジの養殖を手掛ける玄海町の男性(62)は3月の売り上げが半減、4月はゼロだった。月100万円以上かかる餌代を抑えるため、魚に与える餌の量を減らしている。

 県が休業要請を緩和したことで飲食店から注文が入り始めたが、まだ売り上げはごくわずか。「店が再開しても消費が戻らなければ意味がない」と嘆く。

 今月上旬、唐津市内の魚市場で競りに参加した30代仲買人は、通常の5分の1の量しか買わなかった。「東京のすし店など多くの取引先が休業中で、物流も停滞している」と説明する。佐賀玄海漁協(同市海岸通)によると高級魚を中心に魚価が下がっており、相場で比較すると、アラやウニの4月の高値は昨年比で半値以下という。

 県が誇る佐賀牛も枝肉の市場価格が下落している。JAさが畜産販売課によると、東京など全国の食肉市場では、佐賀牛(A5ランク)の4月の枝肉価格は前年比2~3割安という。

 子牛を成牛に育てて出荷する肥育農家で、JAからつの肥育牛部会長を務める松本進さん(71)は「昨年に比べ、1頭売るごとに約35万円のマイナスだ」と話す。10年前に宮崎県で発生した家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」などの影響で高値のときに子牛を購入して肥育を始めたといい、新型コロナの追い打ちに頭を抱える。

 肥育牛は飼育期間が延びるほど死亡リスクが高まるとされる。出荷の停滞を避けるため、唐津市はJAからつと協力して唐津産佐賀牛のパックを半額程度で販売するキャンペーンを打ち出し、販売促進を図る。

 生産者を取り巻く環境は依然厳しい状況が続く。県農政企画課は「担い手不足や高齢化が進む農漁業への影響は大きい」とし、「消費を通じて応援してほしい」と県民に呼び掛けている。

(津留恒星)

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