中国、共産党批判の学者拘束 全人代控え、言論統制強まる

 【北京・川原田健雄】中国の法学者、張雪忠氏が22日に開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)の出席者宛てに、中国共産党の一党独裁体制や新型コロナウイルス対応を批判する公開書簡を発表し、公安当局に一時拘束された。拘束理由は不明だが、習近平指導部は全人代を前に言論統制を強めている。

 インターネットで発表された書簡は、湖北省武漢市のウイルス対応について「疫病流行を長期間隠蔽(いんぺい)しただけでなく、疫病発生を知らせた市民を厳しく抑圧した」と指摘。中国当局は1月3日以降、米政府に何度も感染状況を知らせたとしているが「自国民には知らせていない。こんな無責任な態度は見たことがない」と訴えた。さらに「社会と人民に対する長期間にわたる厳しい統制が中国の社会機構と自助能力を破壊した」と当局批判を展開した。

 また憲法は本来、権力を監視し制限する役割だが、中国では共産党が憲法を使って権力を独占し、事実上武力による統治を行っていると非難した。国会議員に当たる全人代代表についても、公正な選挙を経ておらず政策議論もないと指摘。「真剣に職責を果たす代表者というより、手を上げることしか知らない機械のようだ」と皮肉った。

 書簡では、直接選挙による大統領制などを盛り込んだ憲法草案も提示した。

 関係者によると、張氏は9日ごろに書簡を公開した後、10日に上海の自宅から当局者に連行された。12日未明に会員制交流サイトで「既に帰宅した」と投稿したが、本人の携帯電話はつながらない状態という。

 習指導部は延期していた全人代を開催し、いち早く感染封じ込めを実現したと内外にアピールしたい構え。重要政治イベントを前に体制批判が広がらないよう神経をとがらせており、民主活動家らへの締め付けを強めている。

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