長びく自粛…ネットに活路 野菜通販や有料ライブ配信

 農家や音楽家ら知恵絞る

 新型コロナウイルス感染拡大を防ごうと、さまざまな業種で営業や活動の自粛が広がる中、収入や活動機会の減少を少しでも補うために、インターネットを使った別の活路を見いだした人々がいる。

 福岡県小郡市の「川辺農園」の川辺一平さん(51)は、日々育つ野菜の出荷量が激減。これまで水害は何度か受けても、種をまいてやり直してきたが「初めて青くなった」と話す。

 レモンバジルやガパオなど国内では入手困難なアジア野菜が専門。関東や関西などのホテルや飲食店が売り上げの約9割を占める。3月以降に出荷は一時、昨年同期比1割程度に落ち、7人ほど雇っているパート従業員の休みを増やさざるを得なくなった。

 希望が見えたのが、4月に始めたネット通販。妻久美さん(50)が福岡市で営む店舗「アジアン・マルシェ」の名で、個人向けに旬の野菜やアジア食材を売り始めた。全国各地から注文が舞い込み、「初めて食べたけどまた買います」「旅行先での味を思い出した」と、調理人とは異なる消費者の生の声も届いた。

 売り上げは昨年比4割減まで持ち直し、パートもほぼ通常態勢に戻った。「家でおいしい料理を作ろうという機運が出てきているのかも」。コロナ禍が明けても通販を続けるつもりだ。

   ◇    ◇

 「距離を取りながら安らぎの時を届けたいと思います」。画面上にサックス奏者安武玄晃(もとあき)さん(39)=小郡市=の笑顔が浮かんだ。

 安武さんが4月、ライブ動画配信サイト「ツイキャス」で始めた毎週土曜のオンラインライブ。1回2千円で視聴可能。「家族で並んで見てます」「良い音届いてますよ」。全国の“観客”がコメントを書き込み、安武さんも曲の合間に応答する。「音楽家の知人にはコロナ禍を機に辞めるという人もいる。こういう場が少しでも希望になれば」。約1時間20分の熱演を30人近くが見届けた。

 年間150ステージを踏む安武さんも、8月まで全公演がキャンセルに。外出自粛期間中に演奏動画を無料公開する音楽家は多いが、安武さんは「経済も動かさなくては」と考えた。

 “舞台”はスタジオを営む仲間が自粛期間中に貸してくれた。ソロだけではなく、ゲストの演奏動画に合わせて数曲“協演”し、ゲストの出演料も支払う。次のオンラインライブは16日午後8時からで、恩師の米国人奏者ロン・ブラウン氏の楽曲を演奏し、原点に思いをはせる予定だ。

 「終息まで毎週続ける。その後もライブ配信は何かの形で生かせる」。一筋の光を確かに見つけた。

(大矢和世)

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