収入なくローン返済困窮 長引く休業…ビルオーナーも影響深刻

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

「早急に公的支援を」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休業する飲食店の多くが家賃の支払いに苦しむ中、店舗が入居するビルなどのオーナー側にも深刻な影響が出始めている。経営難でテナントが撤退したり、家賃の減額を求められたりして収入が激減。所有物件のローン返済に窮するケースも出ており、公的支援を求める声が高まっている。

 「こんな状況が何カ月も続いたら、ビルの売却も考えないといけない」。福岡市内に複数の物件を所有する男性は頭を抱える。

 今春オープン予定だったビルは、全国で感染者が増え始めた3月以降、入居希望者からの問い合わせが途絶えた。現時点で入居が決まっているテナントはゼロ。収入がないまま、ローンの支払いだけが始まっているという。

 所有する別のビルには4軒のテナントが入っていたが、飲食店1店舗が閉店。残る3店舗からは家賃の減額を求められ、5月分の半額を免除した。男性は「家賃の支払いを強く求めると、テナントが撤退してしまう。ただ、いつまでも減額に応じるわけにはいかない。政府は早く出口戦略を示してほしい」と訴える。

 市内の不動産会社によると、管理業務を請け負う物件に入居する約200店のテナントのうち、飲食店を中心に約40店から「家賃が支払えない」との相談が寄せられている。

 自社で所有するビルでも、テナントの撤退で家賃収入は約6割減ったという。同社の社長は「オーナー側には資金力があると思われがちだが、多くは物件のローンを抱えている。今後はオーナーが破綻する例が出てくるだろう」と話す。

 休業に応じた飲食店などに対し、各自治体は家賃の支援策に乗り出している。福岡市では賃料の8割を、最大50万円まで助成。国会でも議論されており、自民、公明両党がまとめた与党案は月額50万円を上限に、家賃の3分の2を半年間助成する内容になっている。

 いずれの支援策もテナント側の家賃を助成することでオーナー側の収入安定にもつながるが、「公的支援を受ける予定でも、家賃の減額を求めるテナントは多い。オーナー側にまで支援が行き渡るかは疑問だ」との指摘もある。

 収入が半減した場合、国から最大200万円の「持続化給付金」を受けられるが、同市・中洲地区の物件を管理する業者は「家賃収入の金額は大きい。たった200万円では焼け石に水。オーナー側への支援策も早急に考えてほしい」と話す。

(宮崎拓朗)

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