遺体の飛沫感染リスクは? 医師「呼吸しないため、極めて低い」

西日本新聞 社会面

 新型コロナウイルスに感染して亡くなった場合、遺族は故人の顔を見ることも、お別れを言うこともできないのか-。タレントの志村けんさんが死去した際には、遺族が「入院時から会うことができず、葬儀関係者から骨つぼを手渡された」と涙を流した。一方、国の指針では「遺体を納体袋で密封すれば、遺族の搬送も可能」とある。長年感染症に向き合ってきた医師に意見を聞いた。

 「遺体は呼吸をしないため、飛沫感染のリスクは極めて低い」。福岡県に12ある感染症指定医療機関の一つ、九州医療センター(福岡市)の長崎洋司感染症内科医長はそう指摘し「過剰に怖がる誤った認識が広まっている。今後は医師や感染症の専門家、葬祭業者で情報共有していくことが大事」と訴えた。

 同センターでは3月以降、約50人の新型コロナの患者を受け入れてきた。たんの吸引や人工呼吸器を使うなど飛沫が多く飛ぶ医療ケアの際には、宇宙服に似た防護具(PPE)を着るが、亡くなった後はガウンと手袋、医療用マスクと通常の感染症対策で対応している。遺体は全体を覆う納体袋を二重にし、それぞれの表面をアルコールで消毒。遺族には感染リスクを説明した上で、親族2人まで「最後のお別れ」の時間を設けている。感染の有無は葬儀業者にも告知している。

 長崎医師は「感染症防止策として、手洗いがとても大事。葬儀業者もPPEなどは必要なく、普通にマスクを着用し、接触後は手洗いを励行すれば感染はしないと考える」と話す。

 約40年にわたり5千体以上の遺体を検視してきた福岡市早良区の大木實医師も「生前と違い、遺体からの感染リスクは低い」と同様の考え。「3密」の恐れもある通常の葬儀形式は難しい現状だが「死者の尊厳や遺族のため、対策を講じた上でお別れの場を設けられるのではないか」と話した。

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【ワードBOX】厚労省の指針

 厚生労働省は、新型コロナウイルスなど指定感染症患者の遺体を扱う際の指針を定めている。「遺体全体を覆う非透過性納体袋に収容・密封することが望ましい」としており、その上で納体袋の表面を消毒すれば「特別の感染防止策は不要。遺族が遺体を搬送することも可能」。遺体搬送や火葬の従事者には手袋の着用、体液や排せつ物の飛散の恐れがある場合にはマスク、ゴーグルの着用も求めている。

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