「安全宣言ではない」…警戒緩めぬ九州各県、越境自粛の再要請も

西日本新聞 社会面 山下 真 斉藤 幸奈

 緊急事態宣言の一斉解除が決まった九州各県では、観光地などで日常が戻ることへの期待が膨らむ一方、多くの感染者が出た福岡県との往来が活発化することで感染が再拡大しかねないことへの不安が広がった。知事からは県境をまたぐ移動の自粛を引き続き求める声も上がった。

 「九州内で人の流れが出て経済を回さないと経営が成り立たない」。佐賀県嬉野市の嬉野温泉にある旅館大村屋の北川健太社長(35)は、九州全体での宣言解除を歓迎した。

 福岡、長崎両県からの宿泊客が大半で、4月の稼働率は約10%まで下落。福岡県からの客が戻れば、福岡、佐賀、長崎各県民向けの特典付きプランを売り出す予定で「感染防止へ検温や消毒などできる限りの対策をする」と意気込む。

 長崎県佐世保市のハウステンボスは、入園対象を県内在住者に限定して16日から一部営業を再開する。普段は半数以上が県外客だが、「全国知事会などから県境を越えた移動自粛が求められており、一気に全面再開はできない」と同社幹部。入園の対象拡大は、今後の推移を見守りながら慎重に検討するという。

 県内事業者への休業要請や県民への外出自粛を求めてきた知事たちにとっては、待望の経済活動再開となる。半面、交流人口が増すことによる「感染第2波」への懸念は拭い切れない。特に、九州で最も人口が多く累計感染者数も突出している福岡県とは各県とも行き来が盛んな分、知事の警戒感も強い。

 佐賀県の山口祥義知事は会見で、県境を越える移動について「十分な警戒をしつつというイメージだ」とし、「第2波が来たときはピシッと閉めるようなめりはりが必要と思う」との見解を述べた。

 大分県の広瀬勝貞知事は、「緩みが出ることを心配している」と話し、県民の県外移動に関して「まだ注意が必要というのが、現場で対策を取ってきた者としての判断だ」と強調した。新たな感染者が1カ月以上確認されていない宮崎県の河野俊嗣知事も「県境をまたいだ往来はリスクを招きかねず、引き続き十分注意してほしい」と呼び掛けた。

 熊本県の蒲島郁夫知事は、通院や日常生活に必要な買い物などを除き、県境を越えた移動を自粛するよう県民に改めて要請した。

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