戦前の日本施政下の台湾で、ある物が賄賂代わりに用いられたそうだ…

 戦前の日本施政下の台湾で、ある物が賄賂代わりに用いられたそうだ。授受双方に「挨拶(あいさつ)しただけ」と言い訳が立ち、罪悪感が薄れたためだろうか。物とは純金の名刺である

▼欲得は思いがけない奇手を編み出すもの。誘惑や落とし穴も多い。平民宰相と呼ばれた原敬は、息子が商売人と同道することさえ許さなかったという。一片の疑惑も招かぬよう、身辺に細心の気を配ったのだろう

▼それに比べてこちらは何と露骨で、お粗末な行為か。公選法違反の容疑がかかる自民党の河井克行衆院議員である。妻の案里参院議員当選のために、自ら地元議員らを訪ね回って現金を配ったと報じられている。規範意識のあまりの低さに驚くばかりだ

▼しかも克行氏は前の法相。死刑執行を命じる立場の大臣である。常人の何倍も厳格に法を順守し、身を律さねばならない。だがこの方には、就任以前から金権がらみの話が出ていたとも聞く。適格な人選だったのか、安倍晋三首相の任命責任は重い

▼立件に向けて、大きな進展が伝えられている。折しも安倍政権は、検察の人事権を握って影響力強化を図るかのような法の改悪を進行中だ。政権にダメージとなる案件は、政治的配慮で圧力がかかるのではと懸念されている

▼このたびの捜査には「検察の意地の一撃」との声も聞こえてくる。政権の意のままに動くような機関ではないことを、今事件で明確に示してほしい。

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