宣言解除の九州 地元だからできることを

西日本新聞 オピニオン面

 九州をはじめ地方の自治体にとって、新型コロナウイルスとの闘いは新たな局面に入った。いま目指すべきは長期にわたる感染防止対策の維持と、地域の実情に合った経済振興の両立である。

 政府の緊急事態宣言が首都圏や関西、北海道を除く39県で解除された。九州7県の知事や首長は「コロナ禍」後を見据えた出口戦略を描き、実行に移していくことが求められる。手腕が問われるところだろう。

 緊急事態宣言下の特定警戒都道府県だった福岡県はきのう、民間の休業要請を原則として解除した。同時に、感染の再拡大も想定して、休業の再要請を判断する際の手順も公表した。1日当たりの新規感染者数(3日間の平均)など四つの独自指標に基づくものだ。

 具体的な数字による目安の提示は一般市民にも分かりやすく望ましい。コロナ対策に限らず行政の情報発信の在り方として今後も大切にすべきだ。

 地域の現実を把握している自治体だからこそ、できることがある。警戒すべき3密(密閉、密集、密接)になりやすい施設や公園、商店街を対象に、来訪者の検温やマスク配布といった細かな対策も必要だろう。

 緊急事態解除で緩みがちなムードに流されず、改めて地域ごとの対策を確認してほしい。

 特に心配なのは地域によって条件が異なる医療だ。九州に多い離島は万一多くの感染者が出ると対応に窮する恐れがある。十分な事前対策を怠れない。

 全国民への現金10万円給付が実現するなど、コロナ禍は行政による困窮者支援のこれまでの常識を変えつつある。この際、地方でも新たな発想の施策を検討してはどうか。例えば全国各地で、一般家庭と個人事業主の水道料金や学校再開後の給食費を無償化する動きがある。

 地域経済は当面、厳しい状況が続くと予想できる。海外の訪日客も期待できないだろうし、国内でも県境を越えた移動の自粛が続く。観光とそれに関連する業界が受けたダメージは大きく、事業継続を諦めるケースも出そうだ。そうなればコロナ禍の出口戦略にも痛手となる。地場の金融機関とも連携して資金繰り支援などを急ぎたい。

 個人事業主の多い飲食店も多くの地域で苦境に立つ。埼玉県は消毒の徹底や3密防止を施した店舗に認定証を出す制度を導入し、注目されている。安全性を裏打ちすることは行政にしかできない支援かもしれない。

 全国的に高級和牛や高級魚の需要が極端に減少し、値崩れを起こしている。こうした将来性のある農業、漁業者の支援も忘れてはならない課題だ。

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