新旧ごった煮「呉服元町」の魅力 若い店主が新しい風 佐賀市

 佐賀市中心部の古くからの商店街「呉服元町」。アーケードが消えて10年超、若い店主たちが少しずつ集まり、「新しい風」を吹かせ始めた。根強いファンを持つ、あの「路地裏グルメ」も、もちろん健在。新旧が混ざり合い、不思議な「味」が出始めた町の魅力を歩いて探った。

 アーケードだった通りは今も歩行者天国。日差しを浴びて駆け回る子どもたちは、町の元気の象徴だ。

 話を聞いた建築家、西村浩さん(52)は町づくりの仕掛け人の一人。大事にしているのは「子育て世代が住みたくなる環境」だ。

 私も大きくうなずいた。中心部で子どもの姿を頻繁に見かける佐賀市に住んで感じたのだが、くらしの匂いがない都会の繁華街は、確かに味気ない。

 西村さんは2011年に空き地を利用して整備が始まった「わいわいコンテナ」をプロデュース。読書や展示会に活用され、市民の交流拠点となった。シェアオフィスや、空きビルリノベーションにも取り組んだ。

 ハンドメード雑貨店「SUSIE」店長の田中藍さん(33)は「ここは新しいことを始めやすい、ウエルカムな町です」と語る。店を構えたのは16年。おしゃれな布製おもちゃや、アクセサリーが子育て世代を中心に人気を集めているが、商売の裾野を広げているのが、住民とのふれあいだ。折に触れ、店の近くでマルシェや子ども向けワークショップを開き、にぎわいを演出する。「楽しみにしています」「頑張って」と声が掛かるのがうれしい。

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 町にはいぶし銀のレトロスポットも。終戦後、引き揚げ者らが集まり始めた「中央マーケット」は、年代物の看板や薄暗さが「秘密基地」のムードを漂わせる。現在は飲食店や精肉店など10店ほどが営業中だ。

 黄色の看板がひときわ目立つ、1952年創業の「ぎょうざ屋」を訪ねた。

 「佐賀市民で知らぬ人はいない」と言えば言い過ぎかもしれないが、親子三代で通う客や「帰省したらかならず行く」という「中毒的」ファンを持つ老舗。もちもちの皮とうまみの濃いあんが胃袋をがっちりつかむ。

 3代目の加藤均さん(49)は「町も人も移り変わったが、この中はあまり変わってませんね」。頭がつきそうな低い天井、使い込んだレジ、手書きのメニュー表、流れるラジオ番組…。店構えは完全に「昭和」だ。加藤さんは「この店が朽ち果てるまで続けたい」と笑う。「この空間は、世界にここしかない。大型店との勝負は無理だし、独自にやっていくのがいい」。

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 市などによると呉服元町は佐賀城下の町人街として栄え、昭和期には大型衣料品店やスーパーのほか、アーケード街「呉服町名店街」もにぎわった。しかし車の普及や郊外大型店舗の台頭で人出は減少。アーケードも09年に解体された。

 市は11年に「街なか再生計画」を策定。住民や商工会議所などとともに、呉服元町を含む佐賀玉屋や佐嘉神社周辺エリアの活性化に取り組んだ。ハローワークや商工ビルなどを中心市街地に誘致。「わいわいコンテナ」整備などもあり町では通行量が増え、ここ数年で20カ所ほどの店舗や事務所がオープンした。

 NPO法人「まちづくり機構ユマニテさが」の伊豆哲也タウンマネージャー(67)は「若手が集まって、町が動き始めている」と分析。さらに、店同士が連携して、相乗効果を生むことを期待する。

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 新型コロナウイルスの影響で同町もイベント中止など苦境が続く。それでも町の人たちは前を向いていた。佐賀県も緊急事態宣言が解除された。マスクを忘れずにそろりと、お店との付き合いを再開していきたい。(穴井友梨)

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