旅客機の貨物転用広がる 航空各社、異例の対応

西日本新聞 総合面 森井 徹

 新型コロナウイルスの感染拡大による旅客需要の激減を受け、航空会社が旅客機を貨物輸送に転用する動きが広がっている。スーツケースなどを積む貨物室だけでなく、客席も貨物の積載スペースとして活用。客足の回復が見通せない中、各社とも少しでも収益を確保しようと懸命だ。

 全日空は4月22日から、客席を活用した貨物便の運航を始めた。傷や汚れが付かないようエコノミークラスの座席をビニールで覆い、荷物を載せてベルトで固定。頭上にある手荷物収納棚にも荷物を積む。中国などからマスクや防護服を輸送するのにも活用している。

 旅客機には機体下部に貨物室があり、これまでは乗客のスーツケースなどで2~3割を使い、残りのスペースに貨物を積んできた。客室への積載は異例だが、同社によると「従来より最大で約1・4倍の貨物の輸送が可能になる」。貨物専用に転用した旅客機は4月、上海-羽田など国際線324便を運航。5月も366便を予定する。

 日本航空も4月、こうした国際線の貨物転用で中国や欧米などに591便を運航した。5月には1084便を計画する。同様の動きは海外にもあり、エアカナダは旅客機の座席を取り払って貨物機に改装している。

 国際線の旅客便は各国の水際対策強化で激減し、国内大手の運航便数は計画を9割下回っている。ただ、乗客とともに運んでいた貨物の積載量も減る一方、マスクなど新型コロナ対策の物品の輸送需要は高まっており、航空貨物運賃は一部路線で2倍以上に高騰している。

 国内線も旅客便は大幅な減便や運休が続くが、外出自粛によるインターネット通販の需要増などで宅配便の荷物が増加傾向。日航と全日空は4月、羽田と福岡、沖縄、札幌を結ぶ路線を中心に計205便を貨物便として運航。5月も両社で計430便ほどを予定する。

 運送業者の要請で臨時便を飛ばすケースもあり、日航は「旅客便の運航数が減る中、航空物流を通じて経済を支えたい」としている。 (森井徹)

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