学校再開も試行錯誤 マスクで体育、給食は会話禁止

 緊急事態宣言が九州7県で解除され、各地の学校が順次、再開している。福岡県内でも18日以降、分散登校が始まるが、校内では集団行動を取ることが多く、新型コロナウイルスの感染リスクはつきまとう。3密(密閉、密集、密接)を和らげつつ、学習の遅れにどう対応するか。教育現場は試行錯誤を続けている。

 手洗い、うがいとともに感染予防の基本とされるマスクの着用。文部科学省は学校での常時着用、特に近距離の会話が必要な場面では徹底するよう求める。

 体育の授業ではどうか。大分県教育委員会は、医療用の高機能マスクを着けた子どもが相次ぎ亡くなった中国でのケースを踏まえ、屋外であれば必ずしも着用は必要ないとする方針を決定。同県のある小学校では「着けたい子はおり、紛失のリスクも考え、各自の判断に委ねている」とする。

 一方、校内での常時着用を徹底する長崎市の小学校では、体育や音楽の時間も例外はなく、一部の児童や指導する教員から「苦しい」といった声が漏れることも。熊本県のある小学校も「登下校時の着用はきつそう」という保護者からの意見があり、今後細かいルールを作る。

「3密」回避

 各校が苦心するのが「3密」の回避。13日から分散登校を始めた宮崎市の青島小では、手洗い場の廊下に「距離を保ちましょう」と書かれた足形のシールを貼り、順番待ちの児童の密集を防ぐ。トイレ掃除は教職員が担い、下校後は教室の消毒を徹底。疋田雅樹教頭は「児童の感染リスクを可能な限り減らしたい」。

 佐賀県のある小学校では、教室と教室の間の仕切りを外して2学級分の広さを確保し、音楽の授業は体育館を活用している。

 子どもたちが楽しみにする給食は、学校側にとって特に気を使う時間だ。長崎市の桜町小の児童は向かい合わず前を向いて食べている。5年の女子は「友達と話せないので寂しい」。大分県や宮崎県の小学校では、児童が従来担当していた給食の配膳を教員が行う。

 「手洗いの徹底はしているが、食事中にしゃべるなとも注意しにくい。感染リスクの心配以上に、心の安全も重要だ」と、大分県の50代小学校教諭は話した。

 11日以降、大分や長崎県内の小学校では地域別にグループ分けするなどして分散登校を開始。21日から分散登校を予定する福岡市は、今後の感染状況を見ながら全面再開に踏み切るか判断する。

 福岡市の小学校の50代男性教諭は「登下校時はげた箱に児童が密集する。分散登校を進める中で、下校時刻をずらすなどの対策を検討したい」と話した。

学習の遅れ

 休校は2カ月以上に及ぶ。未学習分について、文科省は次学年に繰り越し、複数年かけて解消することを認める通知を出した。

 問題は授業時間をどう捻出させるか。大分県の小学校では、一部の学年で授業の単位時間をひとコマ45分から30分に短縮し、できるだけ多くの教科、領域を学べるようにする。家庭で教科書を読み、疑問点をまとめた上で授業に臨む予習学習も求めるという。佐賀県の小学校男性教諭は「休校中に予習を取り入れており、授業時間が少なくても何とかなりそう」とみる。

 ただし、本年度から導入された新学習指導要領が掲げる「子どもの主体的な学び」を充実させるための時間の確保は難しい。福岡市の中学校のベテラン男性教員は、学習を急ぐあまり「板書をひたすら写し、黙って聞くだけの旧式の授業に戻る恐れがある」と懸念する。「工夫する先生と、しない先生との間に今まで以上に差が出る。やる気が出ない子どもは置き去りにされてしまうのでは」 (坪井映里香、金沢皓介、四宮淳平、本田彩子)

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